組合員活動紹介
2024年05月27日
くらしの公開講座「"賞味期限"から解放されよう」を開催しました
3月2日 京橋会場参加28名 ウェブ参加16回線
食品ロス削減のためにどういったことを心がけていけば良いのか、一昨年もお越しいただいた、食品ロス問題ジャーナリストで食品ロス削減推進法成立にも協力された井出留美(いでるみ)さんに、 "賞味期限"に絞ったお話をしていただきました。
「食品ロス※」についての専門家として、さまざまな企業や販売の現場に関わってこられた井出さん。スーパーや小売店などで食品ロス問題に取り組んでいる事例を多数紹介されました。
一方で、「賞味期限」について、いま一度考えてみましょうと提言。身近でよく聞くのが家族間での賞味期限の意見の食い違い問題。どうしても厳しい方に合わせがちで捨ててしまうことに...。賞味期限に厳しい方にぜひ知ってほしいことは、注意すべきは「消費期限」であって、期限を過ぎると品質の低下により食べないほうがいいのですが、「賞味期限」は過ぎても味は落ちるかもしれないけれど食べることができるということです。
さらに食品製造者はリスクを考えて食べることのできる期限よりも0.6とか0.7早い設定にしていることが多いことも紹介(1年もつ場合は6カ月7カ月表示になってしまう)。消費者庁は0.8を推奨していますが規制はなく、企業判断になっています。
世界を見ると特に先進国で見直しの流れがあり、デンマークでは2019年に「賞味期限と消費期限の書き方キャンペーン」が実施されて、国のお墨付きのもと、食品パッケージに「多くの場合、その後もおいしく食べられます」と追記。この他食品ロスに取り組み、5年間で25%もの削減に成功しました。日本では井出さんの講演を聞いた三重県の食品メーカーが、賞味期限の表示の下に「おいしいめやすです」と入れました。これだけでも効果的な啓発になり、消費者にとっても分かりやすい情報提供につながります。この「おいしいめやす」の表記は、消費者庁が開催した賞味期限の愛称コンテストで最優秀賞に選ばれたもので、子どもにも分かるようにという配慮もあるものなんだそうです。
日本は食料自給率が世界と比べて低く、さらに気候危機で作物も作りにくくなっている現状もあります。食品ロス問題についても、一人ひとりが自分ごとに考え行動することが大切です。
※まだ食べられることができるにもかかわらず様々な理由で廃棄されてしまう食品のこと。生産~流通の過程で発生する食品の廃棄(フードロス)と、小売・外食や家庭から発生する食品の廃棄(フードウェイスト)に分類される