組合員活動紹介

2021年12月20日

くらしの公開講座 「里親制度ってなぁに?」を開催しました

11月20日 ウェブ参加 24名

 親のいない子どもや、親がいても、いろいろな事情で一緒に暮らしていくことができない子どもがいます。里親制度は、すこやかな育ちの場を求める"子どものため"の制度です。「里親」という言葉は知っていても、どんなふうに里親になるのか、里親ってちょっと難しい事だと感じる方もおられるでしょう。まずは知ることから始めようと、大阪乳児院「里親支援機関おむすび」で里親支援専門相談員をされている大句(おおく)さんを招いてお話をお聞きしました。

「社会的養護」について

 里親制度のお話の前に、保護者がいない・保護者に監督保護させることが適当でない児童を公的責任の下で社会的に養育するしくみ「社会的養護」についてお話されました。家庭で子育てができない事情はさまざまで、虐待・親の失業や不安定雇用・親の離婚による経済的困難・家族や子ども本人の身体的精神的疾患・若年女性や未婚女性など望まない出生などです。中でも一番多いのは虐待で、児童相談所の対応件数は年間15万件以上と言われており、大阪にいたれば7年連続ワースト1位で全国最多の1万2千人を越えます。全国約4万5千人いる実親と暮らせない子どもの84%は乳児院や養護施設で生活(施設養護)、16%は里親家庭やファミリーホームで生活しています(家庭養護)。
 「施設養護」というと、事件の報道やドラマの影響でネガティブなイメージを持っておられる方も多いのではないでしょうか。子どものための保育・保護・擁護を行う「児童福祉施設」は、児童福祉法をはじめとする法令に基づいて児童福祉に関する事業を行います。社会的養護施設は乳児院・児童養護施設などさまざまな形態で、日常生活のお世話以外にも身体的精神的ケアも専門職が多数配置され、安定した生活を提供し、児童が社会に出るまでのサポートに尽力されています。「私が働いている大阪乳児院では、さまざまな配慮や工夫をしながら愛情を持って子どもたちと接しています。自分は大切にされているという想いが、乳児院を退所しても心の拠り所となることを願いながら子どもたちを送り出すその日まで成長を見守ります」と大句さん。

「家庭養護(里親)」について

 「家庭養護」とは、施設のような大人数の暮らしではなく擁護者の家庭で子どもを擁護する形態のことです。「里親」「ファミリーホーム」の2種類あり、「里親」は実家庭で生活することができない子どもを一時的あるいは継続的に家庭的な雰囲気の中で愛情深く育ててくださる方のことです。国連が定める「子どもの権利条約」にも、「すべての子どもは、家庭環境の下で、幸福、愛情および理解のある雰囲気の中で成長すべきである」と提示され、日本では児童福祉法で里親委託を推進すべきであると明言されています。
 「里親制度」には児童の特性や関係などにあわせた5つのタイプがあります(別表参照)。里親になるには特別な資格はいりませんが、子どもにとって健やかな成長と見守りができるかどうか要件が満たされる必要があります。里親になる方法や、子どもを迎え入れるまでの流れ、実際の里親子の声も動画で視聴。大句さんからは、「まずは里親制度を知ることからはじめてほしいです。そして里親子を含む子育て世帯を孤立させず、地域社会と結びつけることが子育て支援の基本だと思います。未来ある子どもたちのために、里親制度を広め里親を増やし一緒に里親子を支えてもらいたいです」と力強く訴えられました。

里親の種類

養子縁組里親 親が育てられない子どもを養子として育てる(普通養子縁組・特別養子縁組)
養育里親
(はぐくみホーム
事情があって家庭で育てられない子どもを一定期間家庭で育てる
専門里親 虐待を受けた子どもなど生活上細やかな配慮が必要な子どもを育てる
親族里親 行方不明などの事情により養育できなくなった場合、子どもの親族が育てる
週末里親 児童養護施設などで生活する子どもと週末などを家庭で過ごす

※大阪府での愛称

「里親支援機関 おむすび」HPはこちら

「里親制度」についてもっと知っていただくため、次月から連載で紹介していきます。

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