組合員活動紹介

2020年04月27日

『戦争と農業』の著者から学ぶ

2019年度 第7回 組合員活動推進学習会

2020年2月12日 京橋事務所(本部)参加113名(組合員活動委員)


 本来、人間の生活を豊かにするはずの農業技術の発展は、農家の生活や農業スタイルを一変させたのと同時に、戦争のあり方を大きく変えることになりました。今回は農業史の視点から、戦争と科学技術の関係について研究しておられる京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史(ふじはら たつし)さんを迎えて学びました。
 第一次世界大戦では、武器の技術発展によってそれまでの戦争にはない大量殺りくを可能にし、残虐さを増し、生き延びても心身ともに大きく傷つき帰還後も苦しみが続くという、悲惨な歴史があります。
 その武器は今、私たちの食を支えている農業技術と密接な関係にあると言います。"トラクター"をヒントにしてできたものが"戦車"。イギリスでは当時売り出されていたトラクターのキャタピラーに目をつけ爆弾でボコボコになった場所でも進んでいける戦車になりました。ドイツでは狭い痩せた土地でも大量生産できるよう生み出された"化学肥料"が戦場で使われる"火薬"に。チッ素肥料を作る工程は火薬を作る工程と同じで、同じ工場で生産していました。戦争で余った"毒ガス"は害虫駆除が容易にできる"農薬"に。さらに第二次世界大戦の時ドイツのナチス軍が農薬「チクロンB」を強制収容所でユダヤ人殺害に使用しました。「このようなふたつの顔を持つ技術が私たちを支えているという現状は、もはや変えることができません。しかし、普段食べている食べ物が、どんなもので作られているかを知り生活することによって、日ごろから世の中を意識し、生活を見直すことで文明を変えることにも繋がります」と藤原さん。
 参加者からは「有機農業は家族の健康のためだけでなく、社会にとっても生き方をかえるひとつのきっかけになるという話は新鮮でした」「ドイツではナチスの歴史をしっかり反省しているようだが、日本は過去を振り返り反省するのが苦手。過去の反省なくして未来はないと伝えたい」など感想が出されました。

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