パン屋さんのこども食堂

掲載日:2024年2月26日

場所
交野市私部4-6-5 カジパン工房
開催日
毎月第3木曜日 16:00~18:00
参加料
子ども:100円 / 高校生以上:300円

梶山さんご夫婦

わがまちの*子ども食堂訪問記 わがまちの*子ども食堂訪問記

 パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
 今回は、交野市にある「パン屋さんのこども食堂」さんです。

「どれにしようかな」子どもに食べやすい大きさにカットしたパンは、おかわり自由

 交野市で人気の、国産小麦・天然酵母を使った「カジパン工房」さん。営む梶山さんご夫婦が地域の繋がりを活かして子ども食堂を運営している。
 売れ残りパンをロスパンにならないよう冷凍し、子ども食堂開始の直前にオーブンで焼いてリベイクしたものを提供。種類豊富なパンをバイキング形式で選ぶワクワク感が楽しい。温かいスープとおかずもあり、近所のケーキ屋さんからもケーキが届く。食後は子どもたちはおもちゃで遊んだり、絵本の読み聞かせに聞き入ったり。大人も安心してゆっくり過ごせるので話にも花が咲いていた。

「どれにしようかな」子どもに食べやすい大きさにカットしたパンは、おかわり自由

ロスパンをなくすことと、
安心して過ごせる居場所を

 代表の梶山さんにお話を伺いました。「私たちは、①SDGs活動フードロス、ロスパンをなくそう ②地域のこどもが安心して過ごせる居場所づくりを目的として開催しています。パン屋の店主は夫ですが、子ども食堂の方は私が中心となって行っています。

冷凍しておいたパンを「リベイク」して提供

 始めたきっかけはロスパンに対する問題意識から。日々売れ残りのパンを廃棄していることが辛くて、例えば堆肥にして再利用できないものかと農家さんに相談してみたことがありましたが、パンは油が多く時間もかかるから難しいということでその時はあきらめました。今日みたいな雨の日は特に売れ残りが多くなってしまう傾向にあり、農家さんたちの顔が思い浮かぶ度悲しい気持ちになっていましたね。ですが、どうにかして売れ残りのパンを活かしてロスパンをなくせないかな…という想いは持ち続けていました。
 また、うちには子どもが3人(小学2年生・年長・1歳)いて、地域の子どもたちが交流し、子育ての悩みを持つ人々が相談し合える居場所づくりにもチャレンジしてみたいと思っていました。そこで思い至ったのが子ども食堂だったのです。
 売れ残りのパンは、ロスパンにならないよう冷凍し、子ども食堂開始の直前にオーブンで焼いてリベイク※したものを提供することにしました。リベイクでもまるで焼き立てのように美味しいですよ♪加えて、地元農家さんや農業ボランティア団体、個人の方々から寄付いただいた食材を使っておかずやスープも一緒に提供しています。毎回スープは母の担当です。何でかおばあちゃんのご飯って美味しいじゃないですか(笑)同じ食材・作り方のはずなのに。
 また、近くのケーキ屋さんからも余剰ケーキを寄付いただいています。今日は、交野女学院さんが育てられたというお~きな聖護院(しょうごいん)大根をいただいたので、そちらを使ったおかずも用意できました。多大なるご支援にいつも感謝の気持ちでいっぱいです。

冷凍しておいたパンを「リベイク」して提供
パン屋さんの2階のスペースは絨毯敷きで小さい子どもや大人もゆっくり過ごすことができる

徐々に広がる 地域のつながり
いただいたご縁への感謝

 子ども食堂の開設にあたって市役所に相談したりもしましたが、同じ目標や課題を持つ地元の方々と色々つないでくださったのは京都信用金庫 交野支店さんでした。私たち夫婦の想いを親身になって聞いてくださり、各所に話を持ち掛けてくださったのです。京都信用金庫さんのご協力なくしてここまで広がりを作れなかったと思います。
 開催場所であるパン屋の2階部分は、オーナーさんがご厚意で安く貸してくださっています。子ども食堂をやりたいから使わせてほしいと相談したところ、オーナーさんも興味があったみたいですごく賛同してくださいまして。
 地元とのつながりは子ども食堂を始めてからも徐々に広がっています。同じく交野市で子ども食堂をされている「根っこわーくす」さんとは、「子どもたちの未来を考える会」に寄せてもらった時につながりました。もともと根っこわーくすさんの活動に賛同・支援されていた方がうちにも賛同してくださり、月に1回約5000円分のパンをうちで買って根っこわーくすさんで販売してくださるようになったのです。
 また、助産院の広場に行った時に、「国産小麦のパンが離乳食に最適だからここで販売してみたら?」と言っていただき販売会をさせてもらった事例もあります。その後子ども食堂に来てくださったりと色んな形で広がりを見せています。
 やりはじめて感じたことは、いただいたご縁への感謝とともに、みんな意外と誰かのために何かをやりたい、地域とつながりたいと思ってたんやなということです。そして、強い思いが人を引き寄せるのか、不思議とやりたい時に出会うもんだな~と。
 実はこれから学習支援もやりたいと考えていて、やりたいな~と思っていたらとある学習塾の先生との出会いがあったり…。

 課題としては、まだまだある子ども食堂=貧困のイメージの払拭です。ここは地域の人にとっての“居場所”としてみんなで一緒にご飯を食べるところです。外でゲームしている子とかを見ると、ここへ来て遊んでくれたらいいのになぁと思うことがあります。例え苦手なものがあってもここだと積極的に食べる姿も見られます。みんなと一緒に食べるということがポイントなんだと思います。そういう意味では、この辺は学童が多くてお母さんもたいがい働いているのでなかなか“居場所”としての浸透は難しいようです。親子はもちろん、子どもひとりでも友だちどうしでも、大人ひとりでもご参加いただけるので、ぜひ気軽に来ていただけたらなと思います。
 スペースとリベイクパンの数に限りがあるので予約制(20食限定)としていますが、気になった方は店頭、TEL、LINEのいずれかでご連絡ください」。

パン屋さんの2階のスペースは絨毯敷きで小さい子どもや大人もゆっくり過ごすことができる

※おいしさをより引き出すためにトースターでパンを温め直すことの意でもありますが、ここでは冷凍したパンを焼き直すという意味で使っています。

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