根っこわーくす「いどこ食堂」

掲載日:2022年5月30日

場所
交野市私市7-19-14 交野こそだちベースtomos
開催日
毎週水曜日 15:00~18:00
参加料
参加意思の表明としてワンコイン
(1円でも5円でも10円でも500円でも、おもちゃのコインでもOK)
  • 根っこわーくす「いどこ食堂」

代表:大島 一(はじめ)さん

わがまちの*子ども食堂訪問記

 パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
 今回は、交野市にある「根っこわーくす」さんです。

生協から届けた「大豆で作ったパラパラミンチ」を具材に

 自然豊かな京阪交野線「私市」駅から植物園の方向に向かうと、民家をリノベーションした建屋が目に留まる。以前は高槻市で活動していたが、縁があって2020年から今の場所に。今でも高槻から通う子もあれば地元の子たちもいて、学校に行っている子もいない子も一緒に居れる“ごちゃまぜ”な雰囲気が温かく居心地が良い。この日は集まった子たちでオムライス・スープ・デザートを作る。子どもの自由な発想を尊重して見守り、ハプニングや筋書きの無い展開にも大人のスタッフが楽しんで対応していく。

お互いを受け止め合い共に過ごす居場所として

 代表の大島さんにお話を伺いました。「いどこ食堂は、『一般社団法人根っこわーくす』が行う子どもの居場所事業のひとつで、子どもたちが自分たちで工夫して作って、食べたり食べてもらったり、食を通してお互いを受け止め合い共に過ごす居場所として取り組んでいます。小中学生を対象とした取り組みは、他に、週末の野外活動(いどこ塾)や、放課後の居場所づくり(放課後いどこ塾)、不登校の子どもたちの居場所づくり(いどこスクール)があります。
 僕はもともと、民間の教育団体や小中学校へ出向き、子どもたちの心を育むための出張授業を長年行ってきました。その中で、いじめや引きこもりなど学校が持つ問題意識や、子どもたちの自信の無さを目の当たりにしてきました。できない自分はダメだと自分を否定したり、時にはできない子をバカにしたり…。それらを引き起こしている本当の原因は何だろう?一体何が子どもたちのしんどさを引き起こしているんだろう?…それは、一人ひとりの中の根っこ(自己肯定感)が育めていないことが根底にあるのではないか、と考えるようになったのです。
 だったら『ひとの根っこ(自己肯定感)を育もう』という理念をど真ん中に据えて活動しよう!と、2017年4月に根っこわーくすを立ち上げました。
 僕たちが考える自己肯定感とは、自分が存在していいんだという安心感のことです。「~ができるから」ではなく「あなただから」一緒にいたいというように、条件付きではなく無条件に「あるがまま」を肯定する、「自分が自分であって大丈夫」という感覚です。子どもたちはそういう自己肯定感が弱いことから、自虐的であったり、人を妬んだり、バカにしたりするという現象を引き起こすのではと考えています。親の愛情の形は様々で、子育てに確信が持てなくて悩んでいる親が大半だと思います。正解なんてないんですから当たり前です。だからこそ、子どもの自己肯定感は親だけでなく人とのつながりの中で育つもの。すべての子にとって家や学校以外に安心して居ることのできる第3の居場所が必要だと考えています。

『何かおもろかったなぁ』という過程を大事に

オムライスに乗せる薄焼き卵を焼くのも言われるのでなく自主的に。大人は見守りに徹する

 法人を立ち上げて以降、子どもが自分自身でいられる居場所を目指して色んなことをやってみました。結果、物理的な場所がなくても経験こそが居場所になるんじゃないかという確信を持つようになり、「いどこ塾」をスタートさせました。毎週末に日帰りキャンプ、毎月1回宿泊キャンプを行いますが、用意されたプログラムはありません。自然の中で子どもたちがやりたいことを自分で決めて形にする、生きるチカラを育む場です。
 2020年7月に始めたいどこ食堂もその延長線上で、ある食材からメニューを自分たちで決めたり、足りない食材は自分たちで買い出しにも行きます。もちろんうまくいかなくて失敗することもありますが、一人ひとりの違いや失敗を受け止め合い、出来栄えの良さより『何かおもろかったなぁ』という過程を大事にしてほしいという思いでやっています。自由である代わりに自分で考える。その中に学びの種があります。大人たちがその時間を奪ってはいけないのです。パルコープさんからいただく食材は、開けてびっくり宝箱。いつもありがたくいただいています。

 今のこの「交野こそだちベースtomos」という拠点は、ご縁によって巡り合い、我々は2020年に再スタートを切りました。当初は4月に開設する予定で進めていたのですが、新型コロナウイルスの影響による休校に伴い、子どもだけで家にいることが困難な家庭があったので、施設整備も整わないまま3月から子どもたちの受け入れをはじめました。緊急事態宣言中も、とにかく困ったらうちへおいでと。そして、いざ学校が再開すると、もともと学校に行っていなかった子が数人残る形となりました。そのこともあって、同年6月にフリースクール「いどこスクール」を開講するにいたったのです。間もなくして、フリースクールが終わってからの時間帯、学校に行っている子も行っていない子も、年齢も、みんなごちゃまぜになった「放課後いどこ塾」も始めました。
 何だか思っていたスタートとは違いますが、目の前に子どもたちがいたので結果的にこうなった、という感じです。

自己肯定感を育む上で大切にしていること

 自己肯定感を育む上で大切にしていることは、「あそぶ」ことと「甘える」ことです。単に遊ばせるだけではなく、何もないところからはじめてみて、どうやったらできるかを考えることで、主体性が生まれます。「できるか分からんけどやってみたい!」が遊びには満載です。そして「甘えたい時に甘える」に応えてもらう、すなわち存在を認めてもらえることから、他者に対する信頼感や自分に対する肯定感が育ちます。甘やかす、とは違います。親だとどうしても「~できたらあげる」とか条件を付けたり、子どもがやっていることに「そんなことしてどうするん」と口を出したり、お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから、となかなか甘えさせたりできなかったりしますよね。それが悪いのではないんです。親も忙しくて余裕がない。だから子育ては一人でやったらあかんと思っているんです。
 もうひとつは、「自分を信じる力」「人や物事に関わる力」「やり抜く力」「くじけない力」です。これらは、「速く走れる」「ピアノが弾ける」などスキルで測ることのできる“認知能力”に対して、スキルでは測れない“非認知能力”と言われ、子どもを取り巻く環境の産物です。自己肯定感を根っこ(土台)だとすると、この非認知能力が幹みたいなものですね。この根っこと幹が育っていないのに何かをやらせても、失敗したり挫折した時にポキッと音を立てて折れていまします。できなくなった途端に自分はいらない人間なんだというふうになってしまう。

地元の人みんなで育てていこや!誰ひとり取り残さへんで!

 事業をやる上で、僕がスタッフたちに大事にしようと言っている「大人の心得」は①子どもの関心に関心をもつ ②していることをおもしろがる ③なりゆきに寄り添う ④頼まれた時だけ手伝う、です。前提として「比べない」「好奇心を奪わない」。これがなかなかに難しい。いつもできている訳ではなくついつい手を出しちゃう時もありますが、こういう大人がたくさん増えて、子どもにやさしい街をつくっていけたらいいなと思います。地元の人みんなで育てていこや!誰ひとり取り残さへんで!そういう考えが広がっていけばいいですよね。
 僕自身が色んな人と出会ってきたからこそ、できるから偉いんじゃなく、全ての人にとって大切な自己肯定感の大切さを実感してきました。そして、子どもたちと一緒に過ごすことで多くのことを学ばせてもらっていますし、一緒に笑い合えることが尊いことだと感じる日々です。子育てに正解がないように、僕たちがやっていることも正解とは思っていませんが、事業を通してどういう社会にしていくかを考えつつ、これからも子どもに合わせて変化をつけながら柔軟に対応していくつもりです。その中で、変化って楽しい!自分たちで変えていけるんだよ!と子どもたちに見せられたらいいなと思っています」。

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