なないろよさみ
掲載日:2023年3月27日
- 場所
- 大阪市住吉区我孫子5-3-2
- 開催日
- 毎月第3木曜日 17:30~19:00
- 参加料
- 子ども:無料 / 大人:300円
スタッフのみなさん
※取材当時はこども食堂「にじっこ」という名称でしたが、現在は「なないろよさみ」に変わっています。
パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
今回は、住吉区にある「こども食堂『にじっこ』よさみ」さんです。
JR我孫子駅からほど近い、南大阪医療生協の組合員活動施設内で毎月開催されている「こども食堂『にじっこ』よさみ」さん。こども食堂『にじっこ』は、他にもう1カ所・墨江地域でも別日に地域のお寺とコラボして食事を提供している。
コロナ禍前は会食形式だった食堂も現在は手作りのお弁当をお渡ししている。施設で使うことのできる調理器具が限られているので、各家庭で調理したものを持ち込むこともある。スタッフは医療生協の仲間や昔の仕事仲間・同僚、子ども食堂をやってみたかったという若手も。「ここは私にとっても居場所」と言う人がいるくらい、和気あいあいと活気があふれていた。
手作りの一汁三菜をモットーに
代表の中西さんとスタッフのみなさんにお話を伺いました。
【中西さんのお話】(栄養士・食品衛生管理者)
「『にじっこ』は、手作りの一汁三菜をモットーに、できるだけ手間ひまかけた手料理を提供していくこと、旬を感じてもらえることをこだわりとしています。調味料も含め安全安心な素材を使いたいので、パルコープさんからいただけるお米や水、調味料、缶詰め、冷凍のお肉や魚、野菜など本当に助かっています。
『にじっこ(よさみ)』を始めたのは今から6年と半年前、2016年のことです。全国的に子ども食堂がブームとなり始める少し前、私は一念発起して仕事を辞め、栄養士の資格を取りました。子ども食堂が注目されていることはちらほら見聞きしていたので、せっかくなら資格を役立てたい、と思い周りに働きかけたのが始まりです。
私は南大阪医療生協の組合員であると同時に運営委員の支部委員をやっていて、まず支部の仲間に声をかけてみました。すると、医療生協としても組織の理念に合致するからということで、組合員活動の施設を開放するなど応援いただけることになりました。ガスの設備がない代わりに普段はカセットコンロで調理していて、その他のおかずは自宅から持ち寄るスタイルです。場所代がかからないというのは続けていく上で非常にありがたいですね。
コロナ禍前は17時~19時までどなたでもどうぞと会食形式にしていました。何回転もするほど大盛況の日もあって、パルコープさんからの冷凍食品は子どもが多い時に大活躍します。みんなよく食べてくれるので、用意していた分が底をついたときに大助かり!調理済み食品の存在の大きさを実感することもしばしばでした。
新型コロナウイルスが猛威をふるいだした頃、にじっこは医療機関が母体となっていることからクラスター回避を第一にとらえ、こども食堂に対しても休止の要請がありました。しかしそんな時こそいつも通りの居場所の確保が大切ではないかと話し合い、お弁当をつくったり寄付物品を配布したりしてきました。休止せざるを得なかった時もありましたが、パルコープさんから途切れることなく食料品をいただけたので、必要とされている人たちにお渡しすることができました。本当は会食で顔の見えるつながりが戻ってきてほしいけど、医療生協の施設ゆえに基準も厳しめだから、そこは割り切ってできることをしていくつもりです。もう少しで新型コロナが5類になるし、ちょっと希望が見えてきたかな…?
子どもたちの成長を親御さんと一緒に
“地域全体で”見守る体制を
にじっこでは「住吉区こどもサポートネット」の指導員さんと連携して、こどもの見守りもしています。なかなか学校になじめないという子でも、にじっこの中ではとっても明るくかわいい笑顔を見せてくれるんですよ。また、住吉区には子ども食堂ネットワークがあり、区役所や社会福祉協議会の後押しも受けて、新学期は区内の全小中学校に合同チラシを配布しています。その効果は大きく、全く出会うことのない人たちと、ここで「同じ釜の飯を食う」経験ができる、もしくはお弁当を通じてつながっているというのは、不思議でもあり何よりもわくわく素敵な喜びです。
開所以来にじっこに来てくれている子どものお母さんから、『ここに来るようになって、野菜でも何でも食べてくれるようになった。にじっこで育ててもらったようなものよ』と言っていただいたことがあります。食べることですぐに結果は出ません。でもそうやって長いスパンで、子どもたちの成長を親御さんと一緒に“地域全体で”見守る体制をつくっていき、本当に必要としている子がいたら毎日どこかの居場所に行ける。ゆくゆくはそうなることを目指しています。この住吉区にもご家庭ごとに色んな事情があります。こちらから個々の事情に積極的な介入はしないスタンスですが、地域の居場所として子ども食堂に期待される役割も真摯に受け止め寄り添っていきたいと思っています。
にじっこの設立当時、南大阪医療生協の理事や職員として対応してくれたのが、亀岡さん、森田さん。当時の支部長の阪井さん。みんなが私の想いに賛同して快く手伝ってくれて、その輪がどんどん広がって今がある。ここまでやってこれたのは人に恵まれているというのが一番大きいです。ここは地域の居場所であると同時に私たちの居場所でもあるんです。自分の感じる「楽しい」を共有できるみんながいることが原動力。いつも感謝の気持ちでいっぱいです。」
【亀岡さんのお話】(保健師・衛生管理者)
「私は実はパルコープの前進となる「みなみ市民生協」が発足した時からのパルコープ組合員です。南大阪医療生協の理事も約15年つとめていて、生協とのつながりは相当長いんですよ。中西さんとは子どもつながりで昔からのお友だち。中西さんから『子ども食堂をやりたい』と聞いた時、私も全く迷いはありませんでした。子どもだけでなく親も孤立していることを感じていた中で、人とつながれる居場所としてやっていこうと決めました。お母さんがものすごく落ち込んでいるのを見る子どももしんどいですよね。ここに来たらお母さんもほっこり笑顔になってくれたらいいなと思っています。
私が「一般社団法人シンママ大阪応援団」の理事もやっている関係で、シンママ応援団で気になる子がいたらここに来てもらったりすることもあります。シンママとその子どもが地域の人とつながれる場としても、子ども食堂の役割はすごく大きいと感じています。これは個人的にですが、2年前にシンママのための簡易シェルターとして中古マンションを購入しました。食料支援はシンママ応援団からいただいてやりくりしています。自分自身が乳がんを患ったことがきっかけとなって、残りの人生、労を惜しまずできることをやりたいと思ったのです。にじっこは私にとっても居場所。いつも本当に楽しくやらせてもらっているので感謝しかありませんね。」