皆さんこんにちは!管理栄養士の奥野です。
息子が学校の授業で育てたトマトを持ち帰ってきました。赤くなった実を食べてみて、「いつも食べるトマトよりおいしく感じる」と嬉しそうでした。まだ青い実がいくつかついています。いくつ収穫できるか楽しみです。
今回はそんなトマトの栽培とも少し関連する「農作物の栽培」に関する話題についてお伝えします。テーマは【オーガニックってなに?】です。
オーガニックとは?
皆さんは「オーガニック」や「有機」と表示されている食品に対してどのようなイメージを持つでしょうか?近年は給食にオーガニック食材を取り入れる自治体が出てくるなど何かと話題ですね。
「Organic」という単語は、食品の分野においては「有機肥料を用いた」「化学肥料を用いないで育てた」などの意味で用いられています。
農林水産省ではオーガニック(有機農業)について以下のように定義しています。
我が国では、平成18年度に策定された「有機農業推進法※注1」において、有機農業を「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」と定義されています。
注1 有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)
「農薬を使わない」という特徴から、農産物そのものに対する良いイメージが先行しがちですが、この法律の理念として重要な部分は、有機農法によって生産される農産物の付加価値ではなく、「農業を行うことによる環境への悪影響をできるだけなくそう」ということなのです。
なぜ食品に「オーガニック」と表示するの?
環境負荷が少ない有機農業の耕地を拡大するためには、有機農業で生産された作物を消費者に買ってもらうことが不可欠です。「売れるなら有機農業にしよう!」と農家さんが取り組んでくれますよね。有機農業の必要性と、有機農業で生産されたということを消費者に知らせるために、国が基準を定めて「オーガニック」や「有機」と表示できる制度を設けています。
現在、日本において有機農業を行っている耕地は、全体の1%に満たない状況です。環境保全のためには、有機農業の耕地をどんどん増やしたいところですが、有機農業は、農薬や化学肥料を使わずに害虫や病気から作物を守らなければならないため、とても手間がかかります。その上、収穫できる量も少なくなります。このような事情から、中々有機農業を行う人が増えません。しかし、近年スーパーでもオーガニックコーナーなどが拡大しつつあり、有機作物の消費も伸びているようです。私たち消費者がたくさん購入することで耕地拡大を後押しできると良いですね。
オーガニックは身体にいいの?安全なの?
「オーガニックは身体に良いですか?」と聞かれることがあります。研究論文を検索すると、オーガニック食品の消費量や頻度と病気にかかりやすいかを調べた研究が見つかりました。それらの研究の結果として、「オーガニック食品をたくさん食べている人の方が特定の疾患の罹患率が下がる」と結論づけているものもあれば、「オーガニック食品でないものを食べている人と疾患の罹患率は変わらない」としているものもあり、明確な結論は出ていません。
オーガニック野菜は農薬を使わないから安全だ、と言う人もいますが、作物への残留農薬の量には厳しい基準が設けられており、検査も行われることから、オーガニックでない野菜でも農薬の心配は不要です。病気のかかりやすさなどに明確な差が認められていないことからも、安全性に大きな差はないと言えるでしょう。
オーガニックの野菜の方がおいしいの?
オーガニックとそうでない野菜を、どちらがオーガニックかわからないようにして実際に食べてもらい、味や食感などを評価した研究がありますが、結果は作物によって違ったり、同じ作物であっても品種の影響が大きかったり結果は一貫しておらず、オーガニックだからおいしいとは言えない、という結果でした。
しかし、オーガニックの野菜を食べて「おいしい」と感じたことがある方は多いと思います。実は、私たちは「有機農法で栽培されている」などと書かれていると「おいしい」と感じてしまうのです。ただ舌で味わうだけでなく、その食べ物に関する情報によってもおいしさの感じ方が変わってしまうのです。
まとめ
・オーガニックは環境保全のために推奨・推進される農法のことです。
・オーガニックの作物・食品の摂取が健康に良い、より安全であるという明確な研究結果は今のところ得られていません。
・オーガニックの作物の方が優れた品質であるという明確な研究結果は今のところ得られていません。
私見
このようにまとめると、「わざわざオーガニック野菜を買わなくてもいいや」と思われてしまいそうですが、私は有機農業を応援しているので、私見を付け加えさせてください。
私は普段の料理で、オーガニックのものもそうでないものもどちらも使用しています。オーガニックでない野菜でも、季節や店によって味わいが違うことを感じますが、オーガニックのものはそれ以上に、同じ野菜なのに買う度に味や香りの特徴が違うように感じます。オーガニック野菜の方がおいしい、というわけではなく、主張が強い味わいの物と出会うことが多く、それが面白いのです。私も、情報を味わっているのかもしれませんが、過去に食品中の成分量や、実際の味わいを官能評価で調査する研究を行ったことがある私でもそのような違いを感じるのであれば、少なくともオーガニックの方が味わいの幅が大きく、色々なおいしさを体験できる、ということは言っても良いのではないかな、と思うのです。
息子と一緒に生き物探しをする自然環境がこの先も残るよう、これからも有機農業を応援したいです。このコラムを読んで、オーガニック野菜に興味を持って頂けたら嬉しいです。
参考文献:
1.【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~:農林水産省. https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/index.html(2026年5月7日).
2.農林水産省 農産局農業環境対策課. "有機農業をめぐる事情".2026. https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/index-171.pdf.
3.Vigar V., Myers S., Oliver C., Arellano J., Robinson S., Leifert C. A Systematic Review of Organic Versus Conventional Food Consumption: Is There a Measurable Benefit on Human Health?.Nutrients. Nutrients.2019,12,1,7.
4.Berlivet J., Meyer E., Allès B., Lairon D., Hercberg S., Touvier M., Srour B., Baudry J., Kesse-Guyot E. Consumption of organic compared with conventional fruits and vegetables in relation to cancer risk: findings from the NutriNet-Santé cohort study.The American Journal of Clinical Nutrition. The American Journal of Clinical Nutrition.2026,123,5,101284.
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7.Nobuhito Sekiya, Toru Nakajima, Takeshi Tsuji. Shaping Rice Preferences: Effects of Farming Information, Package Design and Consumer Attributes.Sustainability. Sustainability.2024,16,22.



















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