こんにちは。いつも子育てに向き合い、日々たくさんの愛情を注いでおられる皆さまに心から敬意を表します。
やまとしぐさ伝承学師範の辻中 公(つじなか くみ)です。
私たち日本人は、古くから型を通して心を育む文化を大切にしてきました。
それは所作、言葉づかい、そして人との関わりの中で磨かれてきた智恵の宝庫です。
その一つひとつの型には、人としてのあり方が込められています。
今回のテーマは、「ごめんなさい」という言葉の意味と、その大切な育て方についてです。
「ごめんなさい」は弱さではなく、強さのあらわれ
近年、子どもに「謝ることができない」「認めることが苦手」というご相談を多く受けます。でも本来、「ごめんなさい」は、負けや否定の言葉ではありません。
自分の行いに気づき、それを正す勇気と誠実さを持っているからこそ、口にできる言葉です。
「謝ること」は、人とのつながりを守る力
家庭での小さな出来事の中に、「ごめんなさい」を育てる種がたくさんあります。たとえば、こんな場面に心を添えてみましょう。
1. 兄弟げんかで物を取り上げたとき
→「いま、○○くん、悲しい顔をしていたね。どうしたらよかったと思う?」
子どもの心を言葉にしてあげることで、自分の行動をふり返るきっかけになります。
2. お友だちにぶつかったとき
→「びっくりしたよね。『ごめんね』って伝えたら、きっと安心してくれるよ」
謝ることで相手の心がほどける体験を通じて、「ごめんなさい」の価値を学びます。
3. 親自身がミスしたとき
→「さっきは、ママも言い過ぎちゃった。ごめんなさい」
大人が謝る姿を見せることは、何よりの学びです。親が素直に謝る姿こそ、子どもにとっての安心の土台です。
ときに、「ごめんなさい」を言うことが怖くなる子もいます。
それは、謝ること=自分が悪い子になる、と受け取っているから。
でも、そうではありません。
「ごめんなさい」は、自分と相手の心を整える、あたたかな言葉。
そして、人との信頼関係を深めていくための、大切な架け橋です。
親が教える"謝り方"の型
• 相手の目を見て• しっかり声に出して
• 最後に「ありがとう」を添えてみる
たとえば、「さっきはごめんなさい。気づかせてくれてありがとう」
このような言い回しを日常に取り入れることで、子どもは自然に"心の言葉"を身につけていきます。
言葉にすることは、心を育てること
謝ることを怖れずに、素直に伝えられる子どもは、人との関係を築く力を育んでいきます。そして、その力は大人になってからの人間関係や仕事でも大きな財産になります。
「ごめんなさい」という言葉の中には、自分を大切にし、相手を想う気持ちが込められています。
小さな日々の積み重ねが、子どもの中に思いやりと勇気を育てていくことでしょう。
次回もどうぞお楽しみに!
心を込めて。
やまとしぐさ伝承学師範
辻中 公(つじなか くみ)



















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