日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承している、やまとしぐさ伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。
日本では、食事などの所作法の型(かた)、季節の祭事の型を通して、生き方や心の育み方を伝え残してきました。
そんな暮らしの中で古くから伝え残されていきた「型」を、「やまとしぐさ」と命名し、その型の意味を皆様にお伝えしています。
やまとしぐさは、「一心五心」という心を磨いていくためのお稽古をお伝えしています。
「一心五心」とは、お陰様の心、感謝、思いやり、尊敬、責任、信頼の心のことで、日本人の精神性を高めてきた大事な生き方の指針。
さて、今回ぜひ知っていただきたい「やまとしぐさ」は、「友達の家にお邪魔したときのマナー」です。
友達の家に招かれるということは、信頼や親しみの証です。その大切なご縁をさらに深めるためにも、親子で基本的なマナーを心がけることが重要です。家族ぐるみの付き合いを円滑にするために、ぜひ参考にしてください。
友達の家でのマナー:大切なポイント5つ
1. 玄関での挨拶を丁寧に友達の家に入るときは、玄関で「お邪魔します」と一声かけましょう。親も一緒に「今日はお招きいただきありがとうございます」と伝えると、お子さまも自然と挨拶の大切さを学びます。
2. 靴をきれいに揃える
玄関で靴を脱いだら、必ずきれいに揃えましょう。靴を揃えることは、相手への思いやりの第一歩です。「靴をきれいに揃えると気持ちが良いよ」と子どもに教えると、自然とその大切さを理解してくれるでしょう。
また、靴を揃える所作には、心を切り替える意味も含まれています。自分の家ではなく、訪れた家のルールを尊重することで、自我を超えた成熟した心を育むことができます。この小さな習慣が、相手を思いやり、丁寧に接する態度へとつながります。
「靴を揃える」という行為は見た目だけでなく、心の在り方を映す美しい行動の一つです。
3. 出されたものを感謝していただく、冷蔵庫を勝手に開けない
お茶やお菓子を出していただいたら、必ず「ありがとうございます」とお礼を伝えましょう。たとえ子どもが苦手なものであっても、感謝の気持ちを持ってお礼を言えるように促すと良いですね。また、「他の人の家の冷蔵庫は絶対に勝手に開けないこと」を教えるのも大切なポイントです。「冷蔵庫にはその家族の大切なものが入っているんだよ」と具体的に伝えると良いでしょう。
4. 部屋や物を丁寧に扱い、必要のない部屋の扉を勝手に開けない
友達の家では、家具やおもちゃを雑に扱わないように教えましょう。「このおうちは友達とその家族の大切な場所だから、丁寧に使おうね」と伝えると、子どもも意識を持ちやすくなります。また、必要のない部屋の扉を勝手に開けることは避けるべき行為です。「扉を開ける前に必ず許可をもらおうね」と教えると、自然と配慮の心が育まれます。
5. 帰るときの挨拶と感謝を忘れない
帰る際には、親子で「今日はありがとうございました」と心を込めて感謝を伝えましょう。お子さまにも、「楽しかった」と具体的な感想を伝えるよう促すと、さらに好印象を与え、感謝の気持ちが深く伝わります。このようなやり取りは、温かい関係を築く第一歩です。
親の行動が子どものお手本に
友達の家での行動は、親の姿勢が子どもにそのまま映ります。親が玄関で靴をそろえたり、丁寧にお礼を言う姿を見せることで、子どももその大切さを自然と理解します。また、家に帰った後も、「楽しかったね」「お友達に感謝しようね」と一緒に振り返る時間を持つと、より深い学びとなります。友達の家で育む大切な心
友達の家でのマナーは、他者を思いやる心を育む絶好の機会です。小さな行動一つひとつが、相手との信頼関係を深め、より良い人間関係を築く基盤となります。また、親子でマナーを学ぶ時間は、家族の絆を深める機会にもなります。友達の家にお邪魔する機会は、子どもたちにとっても学びと成長の場。親子で一緒に丁寧なマナーを実践し、心地よいご縁を育んでいきましょう。素敵な時間を共有することで、子どもたちの品格や感性がさらに磨かれていきます。
次回もお楽しみに!
心を込めて。
やまとしぐさ伝承学師範
辻中公