日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承している、やまとしぐさ伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。
日本では、食事などの所作法の型(かた)、季節の祭事の型を通して、生き方や心の育み方を伝え残してきました。
そんな暮らしの中で古くから伝え残されていきた「型」を、「やまとしぐさ」と命名し、その型の意味を皆様にお伝えしています。
やまとしぐさは、「一心五心」という心を磨いていくためのお稽古をお伝えしています。
「一心五心」とは、お陰様の心、感謝、思いやり、尊敬、責任、信頼の心のことで、日本人の精神性を高めてきた大事な生き方の指針。
さて、今回ぜひ知っていただきたい「やまとしぐさ」は、親子で行く「夏越しの祓い」について。
「夏越しの祓い」とは?
「夏越しの祓い(なごしのはらい)」は、毎年6月30日に行われる、日本の伝統的な儀式です。この儀式は、半年間の罪や穢れ(けがれ)を祓い清め、心身をリフレッシュさせて残りの半年を健やかに過ごすためのものです。日本の神社で行われるこの儀式は、古くから伝わる大切な文化です。なぜ「夏越しの祓い」が必要なの?
半年間の生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに心や体に負担をかけています。例えば、日々のストレスや悩み、不安などが積み重なり、気持ちが重くなってしまうことがあります。「夏越しの祓い」は、こうした心の穢れをリセットし、新しい気持ちで次の半年を迎えるための大切な機会です。「夏越しの祓い」のやり方
1.茅の輪くぐり夏越しの祓いでは、多くの神社で「茅の輪(ちのわ)」と呼ばれる大きな輪が設置されます。この茅の輪をくぐることで心身の穢れを祓うとされています。茅の輪をくぐる際は、まず左に回り、次に右に回り、再度左に回ってから輪を通ります。これを「八の字」にくぐると呼びます。
2.人形代(ひとがた)に穢れを移す
神社によっては「人形代」と呼ばれる紙製の人形を使います。この人形代に自分の名前と年齢を書き、体を撫でることで、穢れを人形代に移します。その後、神社の神職がそれを清めます。
3.お祓いを受ける
神社では、正式にお祓いを受けることもできます。神職によるお祓いの儀式に参加することで、より一層心身を清めることができます。
日本の文化の大切さ
「夏越しの祓い」は、日本の美しい四季と共に育まれてきた文化の一部です。このような伝統行事を通じて、親子で日本の文化に触れることはとても大切です。お子さんと一緒に「夏越しの祓い」を体験することで、日本の歴史や風習を学び、日常生活の中で感謝の気持ちや心の清らかさを育むことができます。また、このような伝統行事に参加することで、自然との調和や家族の絆を深めることができます。忙しい現代社会の中で、親子で一緒に穏やかな時間を過ごし、心を落ち着けることができる素晴らしい機会です。
ぜひ、今年の6月30日には、親子で神社を訪れ、「夏越しの祓い」を体験してみてください。きっと、新しい気持ちで次の半年を迎えることができるでしょう。
やまとしぐさ伝承学師範
辻中公