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2021/12/01

ママに贈る魔法のメッセージ

人生の土台

日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承している、やまとしぐさ伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。

日本では、食事などの所作法の型(かた)、季節の祭事の型を通して、生き方や心の育み方を伝え残してきました。
そんな暮らしの中で古くから伝え残されていきた「型」を、「やまとしぐさ 」と命名し、その型の意味を皆様にお伝えしています。

さて、今回ぜひ知っていただきたい「やまとしぐさ」は、「人生の土台」」について。

人生の土台は、家庭によって築かれていきます。
それは暮らしの中での生活習慣が、人生の土台に大きな影響を与えるからです。
生活習慣とは、言葉の使い方、食べ物の嗜好(しこう)、食事の仕方、歩き方、という行動の習慣から、考え方、解釈の仕方、判断の基準など思考の習慣までをいいます。

家庭の中でその生活習慣は親の影響を子に及ぼすものです。
例えば、家庭で親が料理の腕を振るうとき、家族の好物に合わせて料理が決まったり、家庭での善悪や損得の判断基準も親の考え方が基本になったりします。ですから生活習慣のお手本は「親」であると言っても過言ではありません。
家庭という場は、子どもの人生の土台がつくられる場なのです。

「雨ニモマケズ」や「注文の多い料理店」などで知られる童話作家の宮沢賢治は、とても心の優しい人だったことで有名です。 ある日、男の子が赤いシャツを着て登校してきました。それを「女の子みたいだ」と級友たちにはやし立てられました。見かねた賢治は、「自分も今度赤いシャツを着てくるから彼をそんなにいじめないでくれ」と訴え、皆を黙らせました。 また、賢治が小学校低学年の時のこと、友人がいたずらの罰として水がいっぱいに入ったお茶碗を持って廊下に立たされました。それを見た賢治は、お茶碗の水を全部飲み干してしまったそうです。 そんな心優しい賢治のお母さん「いち」のお話をいたしましょう。
母いちが、賢治を寝かしつける時に毎晩言い聞かせたことが、
「ひとというものは、ひとのために、何かしてあげるために生まれてきたのです」という言葉でした。
この母の言葉によって、利他の精神という、人生の土台が賢治の中に築き上げられていったのでしょう。

どんなこともお陰様の気持ちで人に感謝し、ひとのためにできることを精一杯する、尊敬の心で相手と向き合う、責任を持って物事に取り組む、相手も自分自身のことも信頼する。そんな人生の土台をつくる最初の場が家庭です。
人生の土台をつくるために、心の修養ばかりでなく肉体の健康も大切です。
私の母は、料理が得意で何でも手作りをして食べさせてくれました。おかず全般はもちろんのこと、お赤飯、豚まん、ぼた餅におはぎ、ケーキ。梅干しにお味噌、ミンチ肉まで自分で作っていたほどです。
そんな料理上手で粋な母を真似するなんて到底及びませんが、母の口癖だった言葉は実践しています。
「どんな料理を作るにしても、調味料だけは良いものを使いなさい」ということです。
お砂糖、みりん、お酒、塩、酢、醤油、味噌。この「さしすせそ」の基本調味料だけは妥協をしてはいけないと。
「これが体の土台となるから、家族の健康の第一歩は調味料から始まる」
そうこんこんと言い聞かされて育ち、調味料の銘柄を書き写して、私は嫁いだほどです。ですから今でも調味料は妥協しません。

このように、家庭の中で人生の土台をしっかり示すことこそ、家庭のお役目です。ぜひ、お陰様の心、感謝、思いやり、尊敬、責任、信頼、の一心五心を家庭の中で伝え残してください。
これからも、一つひとつ大切なことをお伝えしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

やまとしぐさ伝承学師範
辻中公

辻中つじなかくみやまとしぐさ伝承師範

辻中 公

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