日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承しているやまとしぐさ 伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。 日本には、しきたりが沢山あります。そのしきたりを知っていると、子ども達の未来に役立ちます。それは、海外との交流で、日本のことについて詳しく聞かれることが多くあるからです。また、日本のしきたりは、優しい心や、強い心を育てる意味があるからです。 そこで、今回は食事をするときの食器を置く位置についてお話をいたします。 ●一汁三菜(いちじゅうさんさい)とは? 日本には、一汁三菜(いちじゅうさんさい)という言葉があります。日本料理の献立の1つのことで、一汁は汁物(しるもの)を1品、三菜は料理を3品という意味です。これにご飯を入れて5品になります。日本人にとって一汁三菜が最良のものという考え方が定着したのは、平安時代です。食器の並べ方が決まっているのですが、それは、そもそも左や右に意味があったからです。 ●左と右の意味 そもそも、左と右には意味があります。 左の「ひ」には、お陰様や火、日という意味があります。 右の「み」には、水、身、自分という意味があります。 日本語は、1音1音に意味があるんですね。 だから、 ●一汁三菜の置き方は、 向かって手前の左に、太陽の光を燦々と浴びて実ったご飯を置き、お陰様、恵みをいただきます。 手前の右側に汁物を置くのは、水という意味があるからです。 そして、 右奥に焼き魚などの主菜、左奥に煮物などの副菜、真ん中に和え物や酢の物などの副々菜をおきます。これで5品ですね。 手前に2つ 向こう側に2つ 真ん中に一つ です。 お箸は持つ部分を右側にして手前に横一文字におきましょう。箸置きを使って、いつもお箸は箸置きに置く癖をつけるといいですね。そしてお茶は右側に置きます。お漬物は真ん中におきます。 ●子どもたちに身につくことは 毎食の食事の配膳を整えることで、おかげさまの感謝の心が育ってきます。左手にお茶碗を持って、右手でいただくことで、恵のおかげで行動することができる、ということに感謝して食事をすることができる「型」になっているからです。 日本文化と生活習慣は、繋がっています。日本のしきたりを知ることは、日本の心を培うことなのです。