コープシアター大阪 京都ミライマツリ 2019

昼マツリ
5月12日~18日 京都四條・南座

 京都南座といえばすぐ頭に浮かぶのが年の瀬を彩る東西顔見世歌舞伎。その南座新開場を記念し芝居やコンサートを封印して、今まで南座を知らない人にも足を運んでもらおうと企画したのがこの「京都ミライマツリ」なのだ。初めてここを訪れる人はどう感じただろうか。
 場内に一歩足を踏み入れるとゆったりした祇園囃が流れ、そこには舞台も花道も客席も魔法のように消えてしまった空間が広がっていた。川床を意識した桟敷席、普段の桟敷席は一流グルメ店に早変わり!皆、川床桟敷で今日の舞台の主役・納涼滝のプロジェクションマッピングに興じている。本水をつかっているので涼しさも本物だ。そして滝の裏側にもハイテクの仕掛けが…。「KABUKIノヒカリ」と題する、今春東京で話題を呼んだ歌舞伎×テクノロジー。義経千本桜をイメージして床に映し出された「吉野の花道」は、桜の花びらを踏むとパッと散り舞い上がる。その面白さに観客は飽きることなく花びらを追いかけていく。一方、ホログラムで映し出された鼓に手を触れるとスクリーンの静御前(しずかごぜん)の後に突如白狐が現れる。鼓になった母を慕う佐藤忠信だ。また、飲食もOKの2・3階席では、AR※1で石川五右衛門に扮した片岡愛之助が「南座唐破風(からはふ)の場」を演じる。場内を眺めていくうちに歌舞伎とハイテクがマッチングしたら、こんなにもわかりやすく奥深いのだと解らせてくれる。数々の縁日にもハイテクを導入。スマホにお面になった自分も映し出されたり、「昔なつかし」ではなく、未来に生き残れる祭りとは何なのかを提供している。最後にICT※2を使った歌舞伎シャウトで大向(おおむこ)うを気取り「山城屋!」と叫んで「松」を貰った。
(はるる)

※1「AR」…拡張現実。実際に居る現実の場所に手を加えて仮想の情報を提供する
※2「ICT」…情報通信技術。IT(情報技術)にコミュニケーションの要素を含めたもの

これからの例会のお知らせ

第97回例会 九月新派公演「家族はつらいよ」「黒蜥蜴(くろとかげ)」
午前の部(11:00 開演)
9月7日(土)・9日(月)・10日(火)
午後の部(15:30 開演)
9月8日(日)・11日(水)
会場:大阪松竹座