コープシアター大阪 第87回例会

加藤健一事務所
ハリウッドでシェイクスピアを
9月20日・21日 エル・シアター

コープシアターカトケンワールド第3弾は、シェイクスピア喜劇「真夏の夜の夢」をベースにめくるめくハリウッドの映画人達が交錯するケン・ラドウィッグのラブコメディ(日本初演)。前回の「川を越えて、森を抜けて」とはガラリと趣きを変え、妖精王オーベロンを演じる加藤健一がきらびやかな緑ずくめの衣裳で現れます。伴う妖精のパックは加藤忍が好演です。

このお話ではオーベロンは3組の婚礼をとり行ない、疲れてアテネ近郊の彼らの居場所、魔法の森へ帰るつもりなのですが、何をどう間違えたのか森は森でも柊の森ハリウッドに不時着。

時は1934年。ドイツから亡命した演出家M・ラインハルトの初監督映画「真夏の夜の夢」の撮影が始まろうとしていました。ドイツなまり「ダス」を連発する小宮孝泰ラインハルト、そしてワーナーブラザーズとのやり取りも絶妙。できすぎた話のようでもありますが、オーベロン達は本人役で出演がきまり、右往左往。
そしてハーミア役のオリヴィアに一目惚れ、「から騒ぎ」の中のセリフを呟くのです。
「我輩はあの胸に生きあの膝の上で死にあの目の中に葬られたい…」このように随所にシェイクスピアのセリフがスパイス的に隠されています。

通にはたまらない?!そしてオリヴィアは?パックの魔法の花(※この花に汁が目に入ると眠くなり、次に目覚めた時、初めて見た人を好きになるというもの)の威力で本当はライサンダー役のディック(丸山厚人)と両想いになりたいのに目の前に居たジョー・E・ブラウン(植本潤)に一目惚れ。役者達はカトケン事務所初出演が多く張り切っていました。
映画人入り乱れる中、あばずれと陰口を叩かれたリディアとワーナーが真実の恋を実らせ、オーベロンはオリヴィアとディックに幸せを譲りこれぞ究極の愛の姿だとハリウッドのシェイクスピアは教えてくれたのでした。
メンデルスゾーンのワクワクする曲と共に…。(はるる)

これからの例会のお知らせ

第88回例会 3回公演 プラハ・バロック合奏団「しっとりとしたヨーロッパのクリスマスコンサート」
12月13日(火)・14日(水)
会場:いずみホール
第89回例会 2回公演 「茂山狂言会」
2017年3月6日(月)・10日(金)
会場:大槻能楽堂