わがまちの子ども食堂訪問記【番外編】読売テレビ「サステナビリティ・プロジェクト」の取り組み

掲載日:2023年01月30日

わがまちの*子ども食堂訪問記 わがまちの*子ども食堂訪問記

 パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介しています。
 今回は番外編として、読売テレビの「サステナビリティ・プロジェクト」の取り組みを追いました。

シノビ―パークでのパルコープのブースでは子どもが楽しめるスマートボールも配置。たくさん食品の寄付もいただきました

 昨年11月の1カ月間、読売テレビ本社1階ロビーで週末ごとに開催された「ytvシノビーパーク」。パルコープも共催し、会場でフードドライブのボックスを設置して来場者に呼びかけました。
 読売テレビ社員さんからも多くの協力があり、フードドライブで集まった食品は200点以上。「この食品が子ども食堂さんに渡されるところまで見届けたい」と、サステナビリティ部・川合さんは物流センターでの食品仕分け作業にも参加、パルコープの子ども食堂配達の車に同乗して、みんなの里子ども食堂・ふれ愛子ども食堂へ。そのようすは読売テレビのホームページで詳しく熱く語られています。

シノビ―パークでのパルコープのブースでは子どもが楽しめるスマートボールも配置。たくさん食品の寄付もいただきました

読売テレビESG推進局サステナビリティ部 若さん・川合さん・山川さん

「フードドライブって知ってる?」という雑談から

 ESG推進局サステナビリティ部・部長の山川さんにお話を伺いました。「サステナビリティ部は読売テレビの中でも2年前にできたばかりで、まだこれをする!というのが明確には定まっていない駆け出しの部署です。この夏は『鳥人間コンテスト』の開催に合わせて、読売テレビ本社で、滋賀県立琵琶湖博物館の協力を得て、琵琶湖の自然環境を学ぶイベントを実施しました。鳥人間コンテストが行われている滋賀県彦根市・松原水泳場では、毎年、大会開催期間中にスタッフと出場チームによる清掃活動を行っており、琵琶湖の環境保全に取り組む様々な団体との連携を深め、より環境に配慮したイベント開催や番組作りに取り組んでいます。

 今回、パルコープさんとコラボさせていただくことになったきっかけは、「フードドライブって知ってる?」というサステナビリティ部メンバー内での雑談からでした。まだ「ytvシノビ―パーク」を秋に控えた夏真っ盛りの頃、「持続可能な社会のために、ytvが出来ること、すべきことは一体何なのか?」を模索し続ける中で出てきたワードです。フードドライブって聞いたことはあるけど具体的にどうするんだろう?ノウハウも何もないし全くイメージできない…。
 そんな時、私の脳裏にご近所で活動されておられるパルコープさんのことが浮かびました。そして、部署のメンバーを連れて、一緒に何かできないかとパルコープさんを訪ねたのが始まりです。
 対応してくださったパルコープの常務理事・松岡さんに「フードドライブをやってみたいのですが…」と話を切り出してみると、二つ返事で「大丈夫ですよ、やってみましょう!」と言っていただきあれよあれよと話が進みました。
 実は松岡さんとは数年前に一度取材先でお会いしたことがありまして…。
 私がまだ報道局にいた2018年、記者として「にしなり☆こども食堂」さんを取材しに向かったところ、そこにいらっしゃったのが松岡さんでした。聞くと、「パルコープ子ども食堂フードバンク」を立ち上げ、事業の中で出た余剰食品や寄付で集まった食品を地域の子ども食堂に分配する取り組みを実験的にされていて、その日もちょうど子ども食堂さんに食品をお届けしているところだったようです。その時は「へぇ~生協さんってこんなこともやってるんや」と興味深く話を伺ったものです。

社会的課題を世の中に広げる第一歩として

 そんなつながりがあったからこそ、4年の時を経て今回イベントでのコラボレーションが実現しました。おかげさまで、どう食品を集めてどう回収してどうお届けするのかがクリアになりました。同じ地域で活動されていて、信頼のおけるパルコープさんだからこそお願いできたことです。
読売テレビ本社のメッセージディスプレイには社内のフードドライブの案内が  イベント期間中に実際どれくらいの食品が集まるのかは未知数でしたが、それよりも、まずは自分たちがやってみるべきでは?と言う話になり、社員、グループ会社も含めた一緒に働く仲間たちにも参加を呼びかけました。結果、イベント期間の計12日間で集まった食品は、社内外から合わせて73.8キログラム。お米やパスタ、各種の缶詰、高級海苔やお菓子など、およそ200品目となりました。こんなにたくさんの食品が集まったことに私どもも驚いております。ご協力いただいた皆さまには改めて感謝申し上げたいと思います。
 今回のコラボは社員たちにも良い影響をもたらしました。身近なところで気軽に参加できる食品ロス削減の取り組みがあるということを知り、日頃からそういった意識を持つきっかけになったのです。読売テレビは色んな分野で日々情報発信をしています。その社員たちがフードドライブについて知ることは、その背景にある食品ロスの問題をはじめとした社会的課題を世の中にさらに広げる第一歩。そこで、イベントが終わった後でも社員がいつでも食品を寄付することができるフードドライブ活動を継続することにしました。

読売テレビ本社のメッセージディスプレイには社内のフードドライブの案内が
コーすけも来たよ!

 今回びっくりしたのは、イベントでフードドライブのブースを献身的に盛り上げてくださったボランティアの皆さんです。パルコープさんの呼びかけで集まってくださった方々なのですが、土日なのにどうしてここまで人が集まるのだろうか…と不思議でした。主に組合員理事、子ども食堂フードバンクの仕分けボランティアスタッフで編成されたメンバーということでしたが、中には地域で活動されている子ども食堂のスタッフや大学生、東日本大震災の被災地支援バスにずっと参加されていたという組合員、ミャンマー出身の若者たちなど、実に様々な面々が一堂に会してブースに笑顔をもたらしてくださいました。パルコープさんの、一つ一つのご縁を大事にして広げていく姿勢も、今回の活動を通じた学びのひとつです。

 この10年で食品ロス問題に対する社会の認識が大きく変わりました。まだ「フードドライブ」がそんなに浸透していない頃は、子ども食堂に食品を提供してはいても、提供後の責任を案じて名前をかくしたがる企業もありました。しかし今は数多くの企業が社会貢献活動の一環として取り組みを公表しています。「子ども食堂」はイコール「貧困」というイメージでしたが、「居場所」「つながる場」という認識に変わりつつあります。そういった背景には、にしなり☆こども食堂の川辺さんをはじめ、地域社会のために頑張る人々が原動力となり、世の中に広がっていったからなのでしょう。
 特に近年若者たちの中でも関心が高まってきています。今や小学生の方がSDGsについて詳しいのでは?というくらいです。企業が社会に果たす役割というものに期待が寄せられていることも感じています。ネットやSNS、動画配信等では情報があふれ、若年層のテレビ離れがささやかれている一方で、SNSで得られる情報は信憑性に欠けるという認識が一定あります。そこに対して、どうしたらテレビを見てもらえるか?どんな存在で在るべきか?果たすべき役割とは何か?を問い続けながら、正しい情報をお届けし、信用・信頼を重ねていくことと、テレビをつけた時に直接関心のない方にどれだけ届けられるか、に重きを置いていくことが大事ではないかと私は考えます。

コーすけも来たよ!

 私たちが掲げる「誰ひとり取り残されない公正な社会への貢献」には、地域の方々とどうつながっていくかが課題のひとつとしてあります。これからの社会を担う子どもたちの前に立ちはだかる気候変動、国家や人種の対立、ジェンダーギャップ、少子高齢化、食料問題、貧富の格差…。そういった社会的課題に対して私たちに何ができるかを考えるには、まず現状を知ることから始めようと、各分野で活動されておられる複数のNPO団体の方々などからヒアリングし、そこで得た様々な「気づき」を共有して具体化を図る、ということをしています。実際、視覚障がいを持った方たちから直接お困りごとなど「生の声」を聞くことで、どういったニーズがあるのかが分かり、新たな視点が取り入れられ、私たちがいま取り組むべきことが見えてきたということもあります。パルコープさんとのコラボレーションも、直接会ってみて初めて見えてきたことがたくさんあり、私たちにできることは案外身近にたくさん転がっていることが分かってきたのです。

防寒着を着て仕分け作業を行う川合さん「冷蔵庫の中のような場所なのにホカホカの気持ちが詰まった食品に感動!」

 同時進行で、我々は持続可能な社会に貢献するための指針となる「ytvサステナビリティ・ポリシー」の策定に着手しています。ニュース担当、営業担当、技術担当、総務担当、アナウンサー、デジタル担当、広報担当、制作担当…、さらに東京支社のメンバーも交えた「チームSDGs」みんなで、ポリシー策定に向けて話し合いを重ねています。そんな中、おぼろげに見えてきたのは「つながる」という言葉でした。

 まさに「つながり」を大事にするパルコープさんと通ずるところです。今後とも我々をそのつながりの中に加えていただきたいですし、そんな存在になりたい。そして、すべての人たちに寄り添い、必要とされるテレビ局を目指して、これからも地域の仲間たちと一緒に新しい時代を走り続けていきたいという思いであります」。

防寒着を着て仕分け作業を行う川合さん「冷蔵庫の中のような場所なのにホカホカの気持ちが詰まった食品に感動!」

※山川友基さん(元読売テレビ報道局 解説委員)
 11年にもわたり、読売テレビの昼の情報番組「かんさい情報ネットten.」の解説委員を勤め上げられた後、2022年6月より、ESG推進局 サステナビリティ部という社会貢献事業の部長に就任されました。

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