らもりーる「みんなの家」
掲載日:2021年6月28日
- 場所
- 交野市星田5-13-6
- 開催日
- ①放課後スペース「ただいま」
毎週水・金曜日(登録制) 放課後~17:30 ②「おやこえん」
毎週月・火・金曜日(登録制) 10:00~15:00
- 参加料
- ①無料 ②有料
代表:谷口 絵里子さん
パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
今回は、交野市にある「一般社団法人 らもりーる」さんです。
5月末の金曜日、朝から伺うと建物の中から小さい子どもたちの可愛い声が聞こえてきた。「おやこえん」にやってくる親子だ。この日はスタッフの子どもも参加して、ふれあいあそびやカラフルな“寒天”を使った感触あそび。季節感があるあそびや子どもの成長に寄り添う遊びを取り入れることで、カラダとココロが育まれるそうだ。
その間、お昼ご飯は料理スタッフを中心に協力して用意、ちらし寿司・小松菜と揚げの炊いたん・ポテトサラダなど。「おいしいと言われると嬉しい」と作り手も笑顔になる。
夕方4時ごろからは、小学生対象の放課後の居場所「ただいま」の時間。普段は宿題をしたり自由に過ごすそうだが、この日は同級生のためにみんなでバースデーケーキを作った。ホットケーキを積み上げてクリームや果物・お菓子で飾り付け。食べる前に、子ども同士のトラブルがあったが、スタッフが声を掛け仲直り。みんなでお祝いすることができた。
親子の居場所として
代表の谷口さんにお話を聞きました。「らもりーるは、お母さんと赤ちゃんが笑い合う時間が増えるお手伝いがしたいと、2012年にベビーマッサージ教室としてスタートしました。当初はこの場所ではなく地域の施設や自宅の一室を使って開催していました。やがてママたちの声から産まれた手作りおもちゃ教室、感触あそび教室も加わり、親子の居場所として成長していきました。
以前は乳児保育園で勤めていたのですが、その時とは違ったママたちのしんどさが見えてきたり、ママたちのやりたいことと、子どもたちのやりたいことの違いに迷いを感じることもありました。子どもたちのあそびを大事にしたい。けれど、ママたちの話しもゆっくり聴きたい。そんな葛藤の末、自宅を全面開放し、1日を一緒に過ごすというスタイルに変更。ここから、一緒にご飯をつくり、食べるということが加わりました。
私自身はなかなか子どもを授かることができずにいましたが、こうした活動を通していろんな親子の姿を見ていると、やっぱり直接育みたい!という気持ちになり、縁あって出会った息子を養子に迎え入れる決意をしました。その大きなきっかけとなったのが、2016年の熊本地震です。当時、私はボランティアスタッフとして現地入りし、避難所のカフェスペースで色んな方とお話しました。話を聞く中で、私もいつ死ぬか分からない、明日かもしれない。後悔したくないという思いがあふれてきました。そして、人手が足りない、愛が足りない避難所の様子が、私が日ごろ直面していることとどこか被って見えたのです。結局、人は人でしか育めない。場所と対象者は違えど、必要なことはどこでも一緒。それまで、私は自分に子どもがいないことでママたちの気持ちを100%理解することはできないというジレンマを少なからず抱えていましたが、経験していなくても寄り添うことはできると感じました。とはいえ自分が本当にしたいことは何なんだろう?そう考えた時、やっぱり地域で一緒に子育てがしたいと強く思ったのです。
そうして家族が増え、主人と息子のプライベート空間を守りながら活動を続けていくためにも、らもりーるに足を運んでくれるママたちのためにも、自宅を飛び出して2019年から、活動拠点を今の星田へと移し「みんなの家」ができました。
大人も子どもも育ち合える「みんなの家」
産みの親が育てることのできない子どもたちを家庭に迎え入れ育んでいく「里親」
この両輪で歩みを進めて
息子ができたことで今までのように自由に動きまわって活動を続ける事は困難になり、もうやめようかと思ったこともありました。ですが、発達に少し遅れがある息子のこともあり、開かれた養育って何だろうと考えた時、地域で垣根なく育み、当たり前にその存在を受け入れられる大人を増やしたいと思ったんです。息子に限らず、ハンディのある子どもたちも一緒に見守れる地域になったら嬉しいなと。そういった想いから、大人も子どもも育ち合える「みんなの家」と、産みの親が育てることのできない子どもたちを家庭に迎え入れ育んでいく「里親」、この両輪で歩みを進めていくことを決めました。近年、家族と離れて暮らすこども、虐待死が増加し続ける一方、不妊に悩む人が増加しています。今後、さらに不妊治療のしんどさや里親になった経験を活かしていきたい考えです。
また、地域で子どもを見守ることが難しい今、子どもたちが気軽に立ち寄れる第3の居場所が地域に沢山あることが大切だと思っています。それから、ママたちが積極的につながりや助けを求めないと、子どもを育むことがしんどい社会になっていると感じています。そんな中、妊娠中~乳児期の子育てスタート時期に子どもとどう向き合うか学べる場が必要だと思っています。
「おやこえん」をはじめ、マタニティーカフェなど気軽に参加できるイベントやコロナ禍ではオンライン講座もやってみたりと、私にできることをしようと日々活動しています。
思えば、ここでの共同生活自体が防災なんだな、とも思ったり。何かあった時、知らない人だらけの避難所に集まるだけでもストレス。助けてほしい時に助けてって言えないストレス。色んなストレスが襲い掛かります。だから、日ごろから共同生活に慣れる場所が地域にあって、安心できる心地よい人間関係の中で、主体的に生きる力を高め合っていくことを大切にしています。
課題はやはり家賃・光熱費も含めた運用資金。お母さんたちが気軽に足を運べる価格を守りたい気持ちと、ボランティアだけでは成り立たない。やはり中核となるスタッフは必要で、葛藤の連続ですが、コープさんをはじめとする寄付や、にじいろガーベ(※)の収益に助けられていますので、今後も親子の居場所を支援して頂けたら嬉しいです。これまで紡いできたご縁、つながり、みんなの力を借りながら、一歩一歩あゆんでいきたいと思います」。
★にじいろガーベについて
子どもの個性や成長に寄り添った“手作りおもちゃ”のひとつ。子どもの成長段階に合わせた遊び方ができ、子どもの力を引き出す余白のあるシンプルなおもちゃ。幼稚園の創始者、フレーベルが考案した恩物を現代の子どもたちの姿に合わせてらもりーるさん独自に考案しなおした、お母さんたちによる手編みの作品たちです。