ながほりこども食堂
掲載日:2020年01月27日
- 場所
- 大阪市西区新町4丁目10-10 医療生協ながほり通り
- 開催日
- 毎月第4金曜日 18:00~20:00
- 参加料
- 高校生以下:100円 / 大人:300円
ながほりこども「朝活」
- 開催日
- 毎月第2木曜日 7:00~8:00
- 参加料
- 無料
※場所は夕方のこども食堂と同じです(上記)
きづかわ医療福祉生協
姉川 駿一さん、石垣 剛さん
12月の寒い朝。夜が明けきる前からボランティアさんが集まり、準備が始まる。ご飯・うす揚げと白菜のお味噌汁・目玉焼き・ウインナー・レタスとプチトマト・バナナがこの日のメニュー。2017年7月から開催している「朝活」は、朝食をしっかり食べていない子どもが増えていると聞き、何かできないかと取り組みを始めた。この日は小学生と中学生の兄妹と一緒に来たお母さんや、小さい兄弟を連れたお母さんなどが、ゆったりした雰囲気のなか食べる姿が見られた。
朝ご飯を食べ終わると「ごちそうさま!行ってきま~す!」「気をつけてね、いってらっしゃい」と元気に出かける姿を見送った。
日中はデイサービスとして高齢の方が利用される施設だが、夕方も月に1回は子どもたちが集まる場所になるという。ボランティアスタッフで診療所の看護師の女性は「この壁の向こうは小児科もある診療所。ここに来る子たちは病気で来る場所と言うよりは、楽しくご飯を食べることができる楽しい場所という認識みたいです」。
誰でも気軽に来られる居場所に
姉川さん、石垣さんにお話をうかがいました。「ここは、大阪きづがわ医療福祉生活協同組合の小児科を中心とした地域診療所です。西区は30~40代の子育て世代が多い地域。忙しいこの世代と子どもたちは、組合員さんであっても“患者と職員”にとどまっていることがもったいないなと感じるとともに、何か地域のための居場所、つながる場に発展させることはできないかと考えていました。
そんなある日、妻に「休みの日くらい子どもの面倒みられへんの?」とビシッと言われたことをきっかけに、『キッチンパパ』という、お父さんと子どもが集まって一緒に料理をする(そのあいだお母さんには休んでもらう)取り組みを始めました。それはそれで好評だったのですが、ふと、「お父さんだけでええんかな?母子家庭のお母さんってどうなんやろ?」という考えが生まれました。
時を同じくして、この西区で悲しい出来事がありました。ある子どもさんが母親のネグレクトで亡くなったのです。このようなことが起こる背景には、この地域で社会とのつながりが持てない大人や子どもが、実はたくさんいるんじゃないか?という声が地域住民から寄せられました。何かできることはないか…そんな時に組合員さんから「子ども食堂って知ってる?」と話があり、『キッチンパパ』を『子ども食堂』にして、地域とつながるためのプラットフォームにしようと決断しました。
そうして2016年の末頃から子ども食堂がスタート。子ども食堂をするにあたって決めたのは、“誰でも気軽に来られる居場所”にするということ。「子ども食堂に行っている=貧困」というイメージを払拭し、ここをひらかれた場所にしたかったのです。始める前は、「なぜ貧困でない人を受け入れるのか?」「怠けている」「甘い」など辛辣なご意見もありましたが、そんな方も今となっては子どもたちの元気な笑顔を見て、やって良かったと見守ってくれています。
“朝活”は2017年7月~、子どもたちの朝ごはんも結構問題じゃない?ということで始めました。当時、大阪市で毎日朝食を食べていない子どもの割合は13.5%(約2万2000人)※というデータも出ており、食べていたとしても「両親とも早く出勤するので1人で食べる」「いつも小さなパン1個だけ」といったケースも。じゃあ、たまには早寝早起きして、みんなでご飯を食べて学校や幼稚園、保育園に行こうや(ついでに大人も一緒にここから1日を始めようや)!と始めたところ、友だちがいるから頑張って早起きして来てくれたり、ご家族そろって食べにきてくれたり、賑やかな1時間になりました。
参加されるお母さんから「月1回だけでもごはんを作らなくていいのは、すごい助かってる」「この日が来るのが楽しみ」と言ってもらえてはじめて、お母さんの毎日ごはんを作るという負担を少しでも減らせているんだと実感しましたね。
※大阪府の2016年度調査より
『助け上手は、助けられ上手』
子ども食堂をはじめたことによってできた新しい出会いもたくさんあって、何の接点もなかった団体や企業に当協を知ってもらい、つながりを持てる拠点になっているというのも感じています。我々医療生協と、パルコープさんのような地域購買生協でも、地域の人々のくらしをより良くしたいという思いは同じですよね。今後は、発展するというよりは継続しながら、異業種という枠を超えた取り組みをもっとしていけたらいいなと思っています。また、そういった子ども食堂を通したつながりは、やがて私自身に還元されていくと考えています。
私は『助け上手は、助けられ上手』という言葉が好きで、今の経験は、将来の自分のためであり、自分にとってこの西区がさらに住みよい街になればという想いを持ちつつ、今は仲間と楽しみながらやっています」。