子ども食堂 もぐもぐ
掲載日:2022年2月28日
- 場所
- 大阪市旭区新森7-12-11 旭東会館
- 開催日
- 第2・第4土曜日 17:00~19:00
- 参加料
- 幼児~中学生:無料 / 付き添いの大人:300円
尾崎 清和さん
パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
今回は、旭区にある「子ども食堂もぐもぐ」さんです。
11月の第2土曜日14時ごろ、会場の旭東(きょくとう)会館では夕方から配布するお弁当の仕込みが始まっていた。この日のメインは具沢山のクリームシチュー。お弁当に詰めるおかずは、お肉や野菜ソテー。以前に飲食業もされていた調理長と若い男性のコンビが頼もしく、お母さんたちが手早く次々と調理していく。傍らでは、お渡しする食材のセット作業中。年明けからの急激なコロナウイルス感染拡大によって大阪市内の小中学校の休校が相次ぎ、使われなくなった給食用の食材が大量に届き、仕分け作業だけでもひと苦労するほど。「子ども食堂もぐもぐ」では①食材セット配布②弁当配布③パン配布と時間を分けて、感染防止のため大人が取りに来てもらえるように工夫されていた。
学童クラブの仲間の提案で「子ども食堂」を開設
運営されている尾崎さんにお話を伺いました。「旭区の新森・清水地域の子どもたちの健全な成長に寄与することを目的として、2018年9月にNPO法人『子どもネットワーク・ワルツ』を設立。最初の活動として子どもたちの成長に最も重要な食を充実させるために『子ども食堂もぐもぐ』を開設しました。私たちの子どもが通っていた学童クラブが民設民営で、資金集め・保育場所の確保・指導員の確保など運営(経営)に携わり、活動しました。子どもが卒所してからも数年関わりましたがそれも終わって、そこで知り合って運営してきた仲間(父母)から、2018年の初めに『子ども食堂をやってみたいんや』と声があがり、賛同したメンバーで準備を進めたんです。当時、いろんな所で子ども食堂ができ始めた時期でもありました。『もぐもぐ』というネーミングは平昌オリンピック・カーリング女子の『もぐもぐタイム』が由来なんですよ。
学童クラブも子どもネットワーク・ワルツの瀧澤さんがNPО法人にしました。活動資金のための大阪市や支援団体などへ補助金を申請する際に、任意団体よりも信用性が高いので進めやすいのが良い点ですね。
初めは手探りでスタートして、先ずは宣伝に苦労しました。でもここでも学童クラブの経験から、むやみにポスティングしても効果は無いと知っていたのでまずは小中学校に交渉して生徒に配ってもらいました。意外と効果が薄かったので、今度は連合町会に掛け合って地域の回覧板や掲示板に載せてもらうように。民生委員にも知り合いがいたのでそのつても使いながら、少しずつ増えていったという感じですね。会場の旭東会館は前の道路が人も車もけっこう行き交う場所なので、そこを通る人にも知ってもらえました。この会館は管理する町会の協力もあり、子ども食堂を開催するにあたりお手洗いを取り付けたり改造もできました。
最初は月1回、食堂形式で子どもたちが食べに来ていました。来てくれる子どもがこれだけいるのならと、途中から開催日を月に2回に増やしました。その時から子どもは無料で、大人は300円。親御さんと一緒に食べる姿もありましたね。
食材は購入したり寄付もありますが、私の母の知り合いが京都・篠山で農家をやっていて協力してくれることになって。車で取りに行って採れたての野菜で食事を作るなど提供の輪も広がってきました。
子どもたちの食べる姿が見たいというのが一番
新型コロナウイルス感染拡大のため緊急事態宣言が出されて食堂が開催できなくなったので、お弁当の配布に変えました。本来は子どもたちの居場所として食堂を開いて子どもたちに食べに来てもらいたいのですが残念ながらできないので…。2020年は、緊急的な助成金が企業などからもらえていたので、地元の千林や森小路のお弁当屋さんに注文していました。それが無くなって、自分たちで作る今のスタイルになっています。緊急事態宣言解除でまた食堂も開いたのですが、状況に応じて弁当に戻したりしています。
食堂にくわえて、食材セット配布(フードパントリー)を2020年5月くらいから始めました。登録されているのは70世帯ほどで、ひとり親家庭や子どもが多い家庭を優先して配布しています。新規の希望者のためにツイッターで事前に呼びかけて申し込みをしてもらっています。食材を寄付に頼っていたので何が来る分からない状態だったので、2021年4月からは助成金をうけ、今は基本食材を定期的に配布するように改善しました。お米・野菜・卵・たんぱく質が摂れるソーセージなどバランスを考えて渡せるようにしています。準備や食材の運搬に時間がかかるので、もう少しスタッフが増えればスムーズにできるのですが。お近くの方、ボランティア募集中です。
パンはその日にある分だけなので先着順ですね。実は『トリーゴ守口店』というパン屋さんが、子ども食堂に協力したいと廃棄になってしまうパンを提供してくださるようになりました。食材ロスをなくすためにも、近所のお店との結びつきを一層深めたいですね。
学習支援もできればと、中学生をターゲットにして長期休みなどに宿題を持って来て一緒にやったりしましたが思うようにできず短期間で一旦終了。場所は近くのお寺の集会所を借りることができるので良かったんですが、月2回だけなのであまり広がらなかったです。小学生でも試しましたが勉強という雰囲気にならなかったですね。これからの課題です。
活動してきて感じるのは、このようなことをやらざるを得ない状況が根本的に問題があると思っています。“子ども食堂やフードパントリーというのは絆創膏なんだ”という言葉を聞いたことがあって、なるほどなと思いました。出血している所を押さえるために絆創膏が必要だけど、傷を治す根本的な解決にはならない。でもやっぱりやらないと血が止まらないわけで、やることに意義はあるんですが。日本社会の矛盾を感じます。
子どもたちの食べる姿が見たいというのが一番。早くまた、子どもの笑顔が見たいですね。
これからは開催回数を増やせたらいいなと思っています。旭区も子ども食堂が増えてきているので、それぞれが少しずつ回数を増やして別々の日に開催できれば、子どもが「今日はここ」とどこでも食事がとれるようになりますよね。ネットワークで繋がっているのでうまくできればと。ただ、子どもの足では行くことができるのに限界があるので、キッチンカーを使って子どもが居るところに出向いて食事を提供できたらいいなぁと夢も描いています。マンションの集会場などが借りられれば、調理設備が無くても開催できるので、遠くまで行かなくても食べられる子どもが増えますよね」。