子どもの居場所まーる
掲載日:2024年11月18日
- 場所
- 大阪市西成区玉出東2-9-33
- 開催日
- 毎週金曜日 16:00~18:00すぎ
- 参加料
- 子どもも大人も無料 ※0歳から18歳の子どもさんとその保護者が対象です

子どもの居場所まーるのみなさん


パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
今回は、西成区にある「子どもの居場所まーる」さんです。
パルコープ玉出組合員集会室からほどちかい一軒家の前。広げたブルーシートに、食品が入った袋がたくさん並べられている。毎週開催されている食品パントリーのものだ。
室内では、小学生から高校生の子どもたちと、親子連れの家族が食事中。この日のメインメニューは「ビビンバ丼」。材料の野菜は、購入したほかに、パル粉浜店や支援団体からの無料提供品。食事は基本は予約制だが、この日飛び込みで来た母子に「話したい事あるかな?まずはご飯たべる?」とすぐさま対応されていた。
安心して集まることのできる
居場所を作りたい
代表の蕚(はなふさ)さんにお話を伺いました。「きっかけは地元の中学校が荒れだして授業が成り立たない状況に陥ってしまう状況を目の当たりにしたことです。教育を受ける前提が無くなるというか、勉強ができる環境が無くなってしまって。この子たちの3年間はこの先どうなるんだろうと…思っていたところ、学校が地域に助けを出されて私たち民生委員や保護司などが授業の見守りに入ることになりました。
そんな子どもたちに接する中で、子どもも大人も『安心して集まることのできる居場所を作りたい』という、若手民生委員の有志たちの想いも込めて2016年に『子どもの居場所まーる』をスタート。少なくても10年は続けよう、この子たちが地域の一員として大きくなった時に『あの時、名前も知らんおばちゃんたちが居ったな…』と思い出してくれて、また覗きに来れるようにと。
七夕の日に始めたのはみんなの記憶に残るからです。『まーる』の由来は『まぁるく』から。でも、まぁるい円の一部は開けてあって、『みんな円に入ることができるようにしてるよ』という気持ちです。
場所は、小さい台所のある2部屋続きの小さなお家です。


子ども食堂の形態になったのは、学校が終わってから放課後にここに来て、カードゲームをしている子どもたちにご飯を作って出したのが始まりです。楽しく遊んでみんなでご飯、まずは食べることから。親子とも有料にしないのは、無料だったら子どもどうしで声かけあって来ることができるから。毎週金曜日に変わらず開くことを大切にしています。
現在『まーる』に登録しているのは51世帯・子ども約100人を含む150人近い親子ですが、実際は毎回40人前後の食事を準備しています。最近は幼稚園に通う親子も増えてきて賑やかに過ごすことも。子どもたちにはママたちの実家のような雰囲気を感じてほしいとも思います。
コロナ禍には“3密”が禁止されて集まって食べることができなくなりましたが、お弁当を作って渡したり、タッパーを持って来てもらって中身を詰めて渡す『晩ごはんの一皿』ということもしましたね。食堂の形式に戻したのは今年の9月から。スタッフの健康も守りながら、安全に進めていきたいです。
食事が作れない時は食材を分け合いました。それが今のフードパントリーの形になっています。厳しい家庭をまるごと支援でき、受け渡しの時になにげない会話も生まれます。続けることで重要な話ができる関係を作りたい。
食品と一緒に『パントリー通信』も渡します。食品パントリーにご協力いただいた内容や、今後の予定など書いていますが、もらった食材を各家庭で調理した写真を投稿するコーナーも。『お母さんたちに作る喜びや食べてもらう喜びを感じてほしい』との想いから、作った料理を通信に載せて、お互いに褒めあったり、野菜料理のおいしいレシピを共有したり。

「まーるの朝ごはん」を
パルコープ玉出組合員集会室でスタート

玉出小学校の正門の真ん前にあった喫茶店が閉まった後、今度はどんな場所になるんだろうと気になっていました。ある時その前を通ったら、おおさかパルコープの施設になってるじゃありませんか。川辺さんの『にしなり☆こども食堂』や荘保さんの『こどもの里』との繋がりでパルコープのことを知っていたので、この玉出組合員集会室の前を通るたびに『いいなぁ…。ここで何かできたら素敵やなぁ…』と、ずっと思っていました。
ちょうどその頃、中学生の不登校問題も起こっていて何とかせねばと。この中学生の不登校は、『もしかして小学生の時の遅刻との関係がないだろうか?なぜ小学生の遅刻が起こるの…?』と思い至り、子どもの居場所まーるで家での過ごし方などを聞き取ってみました。家族の都合で朝起きられない子や、朝も保護者が出勤した後に子どもが戸締りをしなければならない状況、朝ごはんを食べる習慣がない子がいるなどいろいろ見えてきました。
ならば、『朝ごはんを食べる場所を設けて、そこに行くことが楽しみになれば、その流れで学校に遅刻せずに登校できるのでは?』と思い、まずは月1回を目指し、『まーるの朝ごはん』開催場所として玉出組合員集会室をお借りすることになりました。ここは『子どもの居場所まーる』からも近いし、パルコープ粉浜店も近い絶好の場所で食材も購入させてもらっています。
今パルコープさんに食材を提供していただいているのは、『子どもの居場所まーる』で使う野菜など。月に1回、粉浜店に取りに行かせてもらっています。『まーるの朝ごはん』で使う混ぜご飯の素やお汁の具・バナナは粉浜店で購入しています。
目の前の玉出小学校とは、しっかり連携していて気になる子は一緒に見守りフォローできるようにしています。校長先生など数名の先生方も来られて、子どもたちと一緒に朝ごはんを食べておられますよ。中学生や高校生が来ることもあるので異世代間の交流も狙っています。
開催日は特に固定せず、連休や長期休みの次の日、子どもたちがちょっと学校に行くのがおっくうになりそうな気持ちになるタイミングに設定しています。メニューもいろいろ試しましたが今は、混ぜご飯のおにぎりとお汁、ホイップクリームとチョコをトッピングしたバナナのデザートに定着しています。
ここのスタッフは、『子どもの居場所まーる』メンバーに加えて、元PTAを長くされていた方や保護司、近くの子育てサロンの方などさまざま。前日の夕方から炊飯の仕込みや食器の洗浄、机のセッティングなど行い、当日は朝6時くらいから順次集まってきて7時過ぎから来る子どもたちを迎えます。炊飯器は集会室のものをお借りするのですが足らないので、2升炊きの炊飯器を毎回持ち込んでいるんですよ。
ここで開催する意義はとても大きいです。まずは小学校に登校しやすい位置であることと、学校とも連携しやすい。でも校内ではないので、小学生以外も来ることができる。保護者も一緒に食べてお仕事がある方はそのまま出勤できる。近くの幼稚園に通うような就学前の方にも知ってもらえるし、卒業したOBOGが前を通ればおにぎりを渡すこともできるなど…。朝ごはんの活動が“地域の目に触れること”が大事なんですよ。
いろんな仕掛けを作りながら、“地域の再構築”を目指し、子どもに限らず高齢者も含めてお互いに顔が見える関係を築くことが大事だと思っています。それは“地域ならではの醍醐味”でもありますね。個人個人は、さざれ石のような小さな存在だけれど、ただじっとしているだけではなく、その時その時の状況に応じて変化して一つになっていくような。これからも、人とのつながりを大事にして、いざという時に助け合える地域にしていきたいです」。