こども食堂まなび

掲載日:2024年7月22日

場所
大阪市旭区中宮1-11-14 旭区民センター
開催日
毎月第3水曜日 17:00~19:30
参加料
寄付として100円 ※参加対象は小学生です(兄弟の幼児は参加可)

こども食堂まなびの
みなさん

わがまちの*子ども食堂訪問記 わがまちの*子ども食堂訪問記

 パルコープエリアにある「子ども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
 今回は、旭区にある「こども食堂まなび」さんです。

調理室に長机を並べて食べる会食形式。子どもたちの賑やかな声が響く

 旭区役所すぐ近くにある旭区民センターの調理室。お昼から仕込んだカレーのいい香りがただよう。地元商店街のパン屋さんから寄付されたパンを活用するために、この日はトースターでラスクに仕上げていた。メイン料理以外のパンが子どもたちにも大人気だそうだ。
 今では口コミで広がり90食前後を提供。受付時間には調理室前に行列ができるが、室内の定員があるので3交代制で食べる。ここでは小学生のみ対象で、それぞれ50分程度の時間内で食事・おやつもあり食べた後も賑やかに過ごしていた。

調理室に長机を並べて食べる会食形式。子どもたちの賑やかな声が響く

いろんな人に触れあいながら
健全に育ってほしい

 担当の久保田さんご夫婦にお話を伺いました。「2017年2月からスタートして7年目。子どもたちが、地域のおっちゃん・おばちゃん・お兄ちゃんとかいろんな人に触れあいながら健全に育ってほしいなと始めました。その当時は『こども食堂』イコール貧困というイメージがあったんですが、僕たちは『こどもの健全育成』という意味合いを持って、どんな子も来ていいよということで開催しています。今は口コミで広がって100名を越えるまでに。毎回お土産として渡す食材の中に、保護者さんあてのお手紙を入れていて、そこに次回の開催日を記載しています。お手紙は、食材をどこからいただいているかを知らせることと、ここで起きた出来事を伝えるようにしています。困りごともはっきり書く事で、各家庭でも話し合ってもらえたらと思います。

寄付されたレトルトなどの食材はお土産に。袋の中に保護者さん向けのお手紙も入っている
寄付されたレトルトなどの食材はお土産に。袋の中に保護者さん向けのお手紙も入っている

 有志で大宮地域を活性化するために何をやろうとなった時に、いろんなアイディアも出たんですが、こども食堂が現実的かなと。当時の区長さんのこども食堂を広げたいという意向もあり、小学生だけ対象にしぼったこども食堂として今まで開催してきました。中学生・高校生になったらボランティアで関わってもらおう、大人になっても地域に戻っておいでねという気持ちです。『子どもの時にこんなんしてもらったなぁ。大人になったら今度は自分が果たさなアカンなぁ』という想いを少しでも持ってくれたらと。

 ここは予約制でなく、夕方4時半ごろから受付をして3部制の(➀5時~②5時50分~③6時40分~)どの時間に食べたいか希望を聞きます。今は各回約30名までに収まるように調整して、スタッフにも負担が無いようにしています。来る子どもの8割がたは毎度の子ですが、後の2割は新しい子など入れ替わっていますね。
 区民センターで開催しているのは、機材もそろっているし公共の場所なのでみんなが知っていて親御さんも安心して送り出してくれるだろうと。ちょうど校区の境目でもあるので、どこからも来やすいというメリットもあります。子どもにしてみたら自分の校区外だから行ける子もいるかもしれないから、どこから来た子も受け入れようということでやっています。

食べる事も『学び』
大人などいろんな人との関わりも『学び』

 『こども食堂まなび』の名称は、子どもたちが食べて・遊んで・学んでという三本柱の考え方からきています。食べる事も『学び』、ここで勉強することも『学び』だし、大人などいろんな人との関わりも『学び』ですよね。
当初は、『自分が食べたものは自分で洗おう』と食器を自分で洗ったりもしていました。ここで初めて洗った子もいましたし、いろんなことを学んでくれたらいいなぁと思っています。

列に並んでお皿に盛ってもらう

 パルコープさんとは、同じ旭区で活動している『高殿こども食堂あのね』さんとの繋がりから声を掛けてもらったのがきっかけです。生協さんは自宅でも利用していたので知っている団体だし、そんな活動もされている事を知って登録させてもらおうと。
 『こどもの居場所サポートおおさか』からも、旭区内でこども食堂が始まった時期から食材をもらったり、勉強会に参加したりしています。勉強会では事例報告をしたこともあるんですよ。コロナ禍で、たくさんのこども食堂が開催休止になっている時に、工夫して開催していることを発表させてもらいました。
 コロナ禍では、ここの施設が使用禁止と言われない限りはできるだけ開催しようと決めて続けました。さすがに学校が休校の時は学校に準じて中止しましたが、それ以外はスタッフの安全も守りながら細心の注意をはらってやろうと。コロナ後から参加者が急激に増えてその時から3回に分割して食べてもらうルールもできたんです。スタッフも密にならないようにバックヤードで待機したり、人数制限に気を付けましたね。
 どうしても会食できない時はお土産の食材だけを配りました。施設が閉館の時も玄関前で配布して。
開催日の案内は知り合いからお友だちに教えてあげてという感じで広めてもらいました。私たちは子どもたちの連絡先はあえて聞いていないので。その時も保護者さんに渡すんじゃなくて、子どもたちに取りに来てもらいました。
 お弁当など持ち帰りはしませんでした。持って帰った後の管理に責任が持てないので。今でも、食べられる量を聞いてお皿によそうようにしたり、食べられないおかずを避けたり残さないような工夫に繋がっています。

列に並んでお皿に盛ってもらう

 食材を沢山もらえることは本当にありがたいんですが、冷蔵・冷凍食品などは保管しておくのが大変で…。最初は自宅の冷蔵庫で保管していたのですが収まりきらないので、こども食堂専用の大きい冷凍庫を購入。おかげで生協さんからいただいた食材も賞味期限を見ながら貯めておいてうまく活用できるようになりました。以前冷凍ウナギを何か月間かにわたっていただき、集まったタイミングで一気に調理しました。子どもたちに「今日はうな丼やで!」って言いながら。

 私(鈴美さん)は仕事として教員補佐や支援を必要とするこどもを受け持っているので、ここでも子どもたちからは『先生』と呼ばれますね。その学校に通う子どもたちはなんとなく把握できています。子どもたちも『今度こども食堂いつあるん?』と聞いてくれるので伝わりやすいですね。
 学校も協力的で心強いです。7年前の立ち上げの時には各クラスで担任の先生から案内もしてくれて、あるクラスでは、『実際にこども食堂をやる人から話を聞こう』ということで、私が直接子どもたちに説明する機会も設けられました。その後、総合の授業としてもこども食堂のことを取り上げてもらい、私が1時間話したんですよ。聞いてくれるか心配もしましたが、ちゃんと聞いてくれていて嬉しかったです。
 先生が見に来てくれることもあり、一緒にお手伝いしてくれる先生もいて、子どたちともご飯を食べてくれるし、事情も分かってくださっているなと感じます。こども食堂内で起きたトラブルも報告するなど連携して問題解決にあたることができます。こういう関係ができているから学校の方からも、ちょっとしんどい子どもさんを受け入れてほしいんですがどうですか?という相談もあります。家庭環境が厳しく、初めは構えて話せなかった子がだんだんと打ち解けてきて、おっちゃん・おばちゃんと仲良くなっていく様子を見て、良かったなぁと思えることもありましたね。

 実は僕(一男さん)は『難病学生患者を支援する会』という活動もしていて、全国に出向いて講演も行なっています。自分の息子が病気で入院中に高校生には院内学級という制度が無かったので、本人自ら活動して大阪府や大阪市を動かし病弱の高校生にも学びやすい環境が実現しました。18歳で亡くなってしまったのですが、その遺志を受け継ぎ、全国に制度を広げるために奔走しています。もっと世の中に広げて、そういう活動を知っている人が増えたら、一人ではなかなか叶えられない事も実現に一歩近づくと思うんです。『今の子どもたちのためにも何ができるか』という想いはずっとあります。遺志を受け継ぐという意味では、この『難病学生患者を支援する会』の代表者名は息子の名前にしています。

 僕の理想はもっと少人数で、子どもの様子を見ながら話もじっくり聞くことができて長い時間一緒に過ごせるこども食堂で、心と心が通いあえる関係を目指したい。子どもたちが大きくなってまた交流できたら嬉しいですね。
 今は食べることだけでせいいっぱいで『学ぶ』ことができなくなってしまって。以前なら食べた後に勉強したり話し込んだりができていたのに…。遊ぶ道具もゲームもあるんですが出す余裕も無くて。たくさん来てくれることもいいんですが…。悩みどころですね。
 また、お近くでお手伝いに来てくださる方も募集中です。ぜひ一緒に楽しく過ごしましょう!」。

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