わがまちの子ども食堂訪問記【番外編】シングルマザーシェアハウス ideau(イデアウ)

掲載日:2020年11月23日

場所
大阪市平野区喜連5-2-4
  • ideau(イデアウ)
  • ideau(イデアウ)
越野 健さん、安田 委久美さん

代表:越野 健さん、安田 委久美さん

・(株)Peace Festa 代表

わがまちの*子ども食堂訪問記

今回は、パルコープと提携しているシングルマザーシェアハウスの「ideau(イデアウ)」さんを訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをうかがいました。

テイクアウトの取り組み

 10月の土曜日、パルコープの子ども食堂フードバンクの車が到着すると、安田さんが自宅から現れて食品を受け取る。この周辺の一角は、長屋をリノベーションした住宅と、シェアキッチンを備えた交流スペースもある「ぐるぐるそだつながや」と呼ばれている。昨年7月に完成し、居住部分の一部にシングルマザー向けのシェアハウスとして「ideau」ができた。
“ひとつの家庭内だけで子育てするのではなくみんなで子育て”のひとつとして、ひとり親家庭の方へ食材をお渡しするとりくみを今年6月からスタート。SNSなどで呼びかけ取りに来てもらう。仕分け作業はいつも気にかけてくれる友人やシェアハウスの住人の子どももお手伝い。この日は10世帯分の食品を紙袋に詰めた。お昼前から夕方にかけて交流スペース2階を開放し、取りに訪れた方とおしゃべりしながら手渡し。冷凍食品はあえて仕分けず保冷箱から選んでもらう。ゆるーくほっこりした時間に癒されるような場所だった。

血のつながりを越えた場をつくりたい

テイクアウトの取り組み

「ideau(イデアウ)」を運営しておられる越野健さん、安田委久美さんにお話をうかがいました。

越野さん
「僕自身は関東出身で、2012年から池袋で若者向けのシェアハウスを運営するかたわら、起業スクールでセミナーの講師としてたくさんの学生・若者たちと関わってきました。その経験から、2016年に大阪でも若者向けのハウスやLGBTの方向けハウスを立ち上げ、1人1人が主役になれる場所を当事者の方たちと一緒に作りあげていくということを大事にすすめてきました。そんな中、シェアハウスに子連れのシングルマザーから入居できないかという問い合わせがありました。それも立て続けに。当時は、申し訳ないながらお断りしたのですが、そんなニーズもあるのかと気付きました。実は、時を同じくして僕自身も離婚を経験したことも相まって、もしかしたらシェアハウスだったらシングルマザーの悩み事を共有し、助け合うこともできるんじゃないか、自分も経験者として少なからずシンママたちの気持ちも分かるんじゃないかと思い、まずは生の声を聞きたいと、知人のつながりで声をかけて座談会を開いてみました。そこにいた1人が安田だったんです」

安田さん
「私も離婚を経験し、中学1年の娘を一人で育てながら仕事をする中で、“子育てはひとりでしなければいけない”という概念を壊し、血のつながりを越えた場をつくりたいという想いがありました。私自身が『自分の親はこうだった』『子育てはこうするべき』といった固定概念にとらわれ人と比べがちで、自己否定からしんどくなってしまった時期もあり、母親らしさにしばられなくてもいいんだよ、もっと楽にしてもいいんだよと同じシンママたちに伝えたかったんです」

越野さん
「座談会の時にそういった彼女の状況や想いを聞き、お互い話し合ううちに『じゃあ一緒にやってみよう』とシングルマザー専用のシェアハウスをつくることに決めたんです」

安田さん
「この長屋と大家さんとの出会いも結構運命的で、大家さんも地域の人たちが集える場にしたい、とシェアハウスにすることを快く引き受けてくださったんです。もともと3軒だった長屋を5世帯用にしたかったため、設計士さんにもすごく考慮していただきました。特にお風呂。以前の座談会で、『お風呂が共同だと入浴時間がかぶってしまう』といったママたちからの声を反映したかったので、各世帯にお風呂をというのは外せないポイントでした。オープンしてからは、私自身も入居者の一人としてママさん子どもさんたちのサポートをしています。といっても、やってみないと分からないことばかりなので、つながりのある保育士さんに相談したり、区役所の方に教えてもらったりしながら、入居者どうしでゆる~く支え合っています。近隣住民の方も皆さんあたたかくてとっても住みやすい地域ですよ。大晦日は、毎年恒例のテレビ番組をみんなで観て大笑いしています(笑)」

ideauのこれから

越野さん
「長屋の前で子どもたちが遊んでいる姿や地域みんなで子どもを見守る様子はどこか昔懐かしい…思えば僕自身ももっている原風景そのものでした。子どもたちにとって1人じゃないと思えることが大事で、ママたちにとってもそうであればと思います。実は今月から同じエリア内にまた新たなシェアハウスができます。今後もどんどん増やしていけたらと考えています。
住まいとは“住むこと”がゴールではないですよね。皆さん何かしらの目的があってそこに住んでいる訳ですよね。シンママの場合、住まいの先には“収入や生活の安定”が求められます。得意な分野を活かして収入につなげるサポートもしますが、収入源を複数持つことも応援したい。そこで、いただいた食材を使って彼女らの雇用が生まれるカフェ・地域にひらけた食堂にも挑戦しようと計画しています。周りの見方もそうですが、“ひとり親だから可哀そう”と自分を社会的弱者ととらえずに、挑戦することを諦めないでほしい。可哀そうかどうかは自分で決めるもので、置かれた境遇を活かすのも自分次第。周りからtakeするばかりでなく、自分からgiveすることもないとなかなかマイナスな思考からは抜けられないと僕は思うんです。だからこそ、先程述べたカフェや食堂がgiveに慣れる訓練の場として機能すれば良いなという想いです」

安田さん
「ここは、ただ生活のために住む場ではなく、入居者どうしが互いに高めあいながら前を向いてステップアップしていく場です。私も子どもとの関わり方、生き方や働き方を改めて見つめなおしている最中。“母親らしさとは何か”というのはこれからも自分自身に問いかけ続けていきつつ、ママさんたちへのサポートも続けていきたいと思っています」

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