子ども食堂ひまわり・みんなの食堂わらべ
掲載日:2019年09月23日
- 場所
- 子ども食堂ひまわり:大阪市城東区古市1-20-2
みんなの食堂わらべ:大阪市鶴見区鶴見4-15-20 鶴見わらべ学童保育所
- 開催日
- 子ども食堂ひまわり:毎月第2・第4金曜日 16:00~18:00
みんなの食堂わらべ:毎月第3土曜日 11:30~13:30
- 参加費
- 子ども:無料 / 大人(19歳以上):200円
ヘルスコープおおさか
組合員活動部
梶 真実(まさみ)さん
※ヘルスコープおおさかは、2023年4月に5法人が合併し「医療福祉生活協同組合おおさか」になりました。
「子ども食堂ひまわり」は元保育所だった所を借りて利用している。夏休みに入ったということもあり、参加人数が読めないことでメニューはカレー。「本体の鍋と別に濃い目に作ったルウを足していけば上手く調整できるのよ」と料理担当のボランティアさん。限られた食材で必要な分量をつくるのは大変だが、「ここのスタッフは働くお母ちゃんだった人が多くて地域に助けられたから、恩返しのつもりでやってるの。だから楽しいよ」と参加する親子に笑顔で寄り添う。この日は約70人の子どもや親子が訪れた。子ども食堂には地元の小学校の校長先生の理解も深く、夏休み企画として開催された「そうめん流し」イベントは学校内で行われ大盛況、夏のひとときを大いに楽しんだそうだ。
「みんなの食堂わらべ」は鶴見区にある学童保育所で行われる。ひまわりでおなじみのスタッフをはじめ、新しいボランティアさんも一緒になって運営。近所の八百屋さんから野菜の協力もあるそう。わらべは小さい子どもだけでなく、中学生やご高齢の方もよく利用していて、学童つながりの若いお母さんが多く来られるのが特徴だ。
協同組合だからこそできる 子ども支援
このふたつの子ども食堂は、鶴見区にある医療生協「ヘルスコープおおさか」さんが運営されています。運営担当の組合員活動部・梶さんにお話を伺いました。
「ヘルスコープおおさかは、医療・介護などの福祉事業を中心におこなう生協で、事業を通して組合員さんのいのちとくらしをまもり、みんなで支え合い、笑顔あふれる健康なまちづくりをすすめています。子どもを取り巻く状況が社会問題となり、みんなの力をよせあう協同組合だからこそできる子ども支援が必要という考えのもと、2017年度から子ども支援に取り組むようになりました。
まずメンバーを募り、実行委員会を立ち上げました。そして子ども食堂について理解を深めようと、東京のNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」の栗林さんを講師にお招きして学習会を開催。また、東大阪市を拠点とする「医療生協かわち野」で子ども食堂をやっておられる小西さんに学習会でお話していただきました。そうして実際にされている方々の生の声を聞く中で、だんだんイメージが膨らんできたのですが、場所と物資はどうしようと。するとその頃、大阪福祉事業財団の方から空き家があるとご連絡をいただき、物資については、当協の機関紙に掲載したところたくさんの寄付をいただきました。本当に有難いことです。人員については、地域で活動をしておられる運営委員さん(組合員)を含めボランティア12名が集まり、2017年9月~子ども食堂ひまわりがオープンしました。食材は、病院の給食用食材で出入りする食品業者さんからと、パルコープのフードバンクさんから定期的にいただいています。フードバンクOSAKAさんにお世話になることもあります。大阪市ボランティア活動振興基金の助成金も申請し交付されたので、備品も充実し、食材も豊かになりました。
立ち上げて1ヶ月経った頃、すみれ小学校の校長先生が見学に来られ、その後の朝礼でひまわりのことを話題にしてくださったおかげで知名度が一気に上がり、多くの子どもたちに利用してもらえるようになりました。その時、学校の協力の必要性というのをすごく感じましたね。
医療生協ならではかなと思うのは、子ども食堂の場で無料の歯科検診と歯の相談会を実施できること。地域の歯医者さんの先生に来ていただき、子どもたちの歯や噛みあわせなどを診てもらいます。先生も子どもたちを取り巻く状況は心配されていたそうで、快く引き受けてくださったのです。これまでに3回実施し、毎回大好評でお母さんたちにも喜ばれている取り組みです。今後は、ヘルスコープおおさかの歯科医師も協力してくれる予定です。
食堂を通して地域とつながる
『ひまわり』の方は、ボランティア団体として自立させ、今ではボランティアさんたち中心でやっていただいています。こうしてボランティアさんと一緒にまちづくりをしていくことは、地域の方たちと生協を繋ぐ機会にもなっています。何より、子ども食堂を通して若い世代と接点をつくれるということも大きな財産です。まちづくりと生協の活動は深く関係していると私は思っていますし、若い世代の方々が将来関わってくれるようになっていったら嬉しいですね。『わらべ』は、2019年3月から多世代型の食堂として新たにボランティアを募集してスタート。きっかけは、鶴見わらべ学童保育所のスタッフさんとの会話で、実は子ども食堂をやりたいと思っていたことを伺い、一緒に進めることになったのです。毎回場所を提供いただき、冷蔵庫に入りきらない食材はうちの方で保管しながらやりくりしています。地域にはご高齢で一人暮らしの方も多いですから、こういった場所がさらに広がればと思います。
鶴見わらべ学童保育所(NPO法人 Warabe) 理事長・猿渡さんのお話
学童として子ども食堂をやろうとした背景には、うちのある理事さんの熱意がありました。2015年に寝屋川で中学生の男女が犠牲になる痛ましい事件がありましたよね。当時理事さんの娘さんも中学生でした。わらべを卒業した子たちはその後もここに居場所があるけど、居場所がない子たちには行く場所がない。だから行くあてもなくフラフラしてしまう。そういった子たちのため居場所づくりのきっかけを絶対つくらないといけないという想いはずっとあったと言います。
そこで、地域に学童の門をもっと広げていくための取り組みとして、子ども食堂立ち上げの案が出ました。しかし実際運営していくのは簡単ではありません。学童を利用されている親御さんに負担をかけることにもなりかねません。大阪市のボランティアセンターを利用してボランティアさんに来てもらうのはどうか…など検討しました。
そんな中、ヘルスコープおおさかさんの取り組みを知り、1年くらい梶さんやスタッフと話し合いを重ねました。その結果、地域に開けたこの場所で、誰でも参加できる“みんなの食堂”として立ち上げることに決まりました。ボランティアさんは、ヘルスコープおおさかさんからの紹介なので安心してお任せできました。
立ち上げてみて…感じたことは、人の役に立ちたい人ってけっこういるんだなと。寄付いただく食材もそうですし、農業サークルをやっておられる方々の畑で収穫体験をさせていただいたり、一緒にイベントをやりたいというお声がかかったり…宣伝は一切していないのに関心を持っていただけることがすごいなと。きっと声には出せないけど誰かの役に立ちたいという方はたくさんいて、自分にもできることとしてこういった場所があるというのはその方たちにとっても良いことなのではと思います。思いを持った方々が自然と集まり、みんなベクトルを同じにして形にしていく。私たちは誰でも気軽に来られる雰囲気をつくっていき、食堂を通して、地域の方に学童のことにももっと興味を持ってもらえるようになっていったら嬉しいなと思いますね。