NPO法人ハッピーマム

掲載日:2023年8月28日

場所
事務所:守口市藤田町3-46-5

代表:
玉城(たましろ) ゆかりさん

わがまちの*子ども食堂訪問記 わがまちの*子ども食堂訪問記

 今回は、パルコープと提携しているシングルマザー支援団体のひとつ、「NPО法人ハッピーマム」さんを訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをうかがいました。

商店街にある倉庫まで食材を受け取りに来られたお母さん。「玉城さんには精神面でも支えてもらっています」

 藤田町にある商店街のなかに、ハッピーマムの事務所兼倉庫がある。この日は代表の玉城さんとスタッフの女性がいて、食材を引き取りに来た方の対応をされていた。セットされた箱の中には、レトルトや缶詰・飲料が詰められCO・OPマークのパックご飯やお菓子も添えられた。「わあ!可愛い!」と手に取った動物のマスコットキーホルダーは、同じ支援を受けている別の女性の手作り。娘が喜びますと笑顔がこぼれた。
 対面で受け取りに来るほか、登録者に食材セットを毎月1回発送している。

商店街にある倉庫まで食材を受け取りに来られたお母さん。「玉城さんには精神面でも支えてもらっています」

一人で悩みを抱える人が
『助けて!』と言える相手になりたい

 代表の玉城さんにお話を伺いました。「ハッピーマムでは、生活に不安や悩みを抱えるひとり親とその子どもたちに、食材支援・相談支援・コミュニティ創りを行うことで、ひとり親とその子どもたちが夢や希望を持って健やかに暮らすことのできる元気な社会の実現に寄与することを目的としています。ある時、フードドライブ活動の事を目にする機会があり、食べる事を我慢している子どもが居る事を知りショックでした。私も母子家庭で育った経験があり、経済的にも苦しく、母が昼夜働いていたので弟と2人で過ごすことが多かったです。でも当時はそんな私たちを気にかけてくれている「ご近所さん」がいたんです。ご飯をお裾分けしてくれたおばちゃん、自分の子どものように世話を焼いてくれたおじちゃんやおばちゃん。地域の人に支えられて育ったんだという思いがあるんです。今度は自分が地域に恩返しがしたいと、2017年にクラウドファンディングで資金を集めてNPО法人を設立。一人で悩みを抱える人が、『助けて!』と言える相手になりたいと活動してきました。
 今の時代は共働きで核家族が多く、地域コミュニティで助け合うことが難しくなり、ひとり親家庭は孤立しやすくなっています。仕事をしていて生活保護を受けていないけれど生活が苦しい家庭が多くあり、毎日のように食材支援希望のメールが届きます。なかには関東・東北・九州などからも連絡があり、食材を発送することも。支援するためには一定の規定を設けていて、基本は面談できる方を対象としていますが、ひとり親家庭を証明できる書類のスクリーンショットの添付があれば1回分は送るようにはしています。あとできる範囲ではありますがその方の住んでいる地域で力になってくれそうな機関を紹介するようにもしています。『保護シェルターに入るにはどうしたらいいか』など切羽詰まった相談もあるので、その土地で横の繋がりが持てるように考えます。

食材支援は
その人と繋がるきっかけ

 食材支援はあくまでもその人と繋がるきっかけであって、やり取りができる関係を作ることを大切にしています。現在は毎月1回食材を送り、期限は1年間としていますが、これもいろいろ試行錯誤がありました。過去に、支援しすぎると依存してしまう関係になって期待を裏切ってしまう苦い経験も。距離感が難しいし、何が正解などないので悩み事も多いですね。『釣った魚を与えるだけなのでは?魚の釣り方を教えないと』と苦言を言われたこともありました。言いたいことは理解できるし、最もだと思います。でも、食べる事に困ってやっと勇気を振り絞って連絡をしてきた人を助けたい。その瞬間に大変な人に何ができるかと考えます。食材支援もどんどん増えてきて、今でも、どこから食材を集めてくるかと考え込んでしまって眠れない日もあります。
 嬉しいことも多いですよ。食材セットを届けた家庭から『この箱に温かさを感じます』とメッセージをもらった時は嬉しかったですね。活動を理解してくれる仲間も増えて、今日来てくれた対応スタッフの女性なんかは、『お店が無くっても個人でフードドライブってできますか?』と、家の前に回収ボックスを設置してくれているんですよ。家の前に商店があり、そこに通う方が食材を入れてくれたり、フードドライブって何?など知らない方でも会話できることが楽しいと言ってくれています。実はこのスタッフも以前食材支援をしていた対象の方だったんですけど。なので、昔は食材支援希望のメールが届いたら支援をする対象者の方が増えたと捉えていたんですが、今は『また仲間が増えた♪』と感じるようになりました。
 食材支援を終えた1年後の方には、生活を改善するための方法を一緒に考えます。収入を増やして少しでも豊かだと思える生活ができるように。 孤立を防ぐためのコミュニティ創りにも力を入れたいですし、楽しいイベントも計画したいです。そのためにもっと他の団体と繋がりを広げていきたい。もっと支援の輪を広げて、その土地土地で関わってくれる人を増やしたいですね。」

NPO法人ハッピーマム

支援を受けている女性の手作りマスコットたち。
自分のできることで何かしたい、と時おり提供いただくそうだ。
食材と一緒に添えられているとほっこり癒しに

娘さんはよくもらった食材をアレンジしてうまくやりくりするのが得意だそう。
「コープのレトルトカレーを食パンでホットサンドのように包み、パン粉で揚げてカレーパンにしてくれた時はおいしかった!食べ物に困っていたので、あるもので美味しく楽しむスキルが身に付いたみたい。今は調理師免許を取りたいと頑張っています」

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