高殿こども食堂あのね
掲載日:2019年03月25日
- 場所
- 大阪市旭区高殿3丁目21−1 高殿南老人憩の家
- 開催日
- 毎月第4土曜日 17:00~20:00
- 参加料
- 子ども:無料 / 付き添いの大人:300円
代表:永田 華子さん
梅の花がほころび寒さもやわらいだ2月末。高殿南地域の老人憩いの家にうかがうと大勢のボランティアさんが準備の真っ最中。ご飯はこの場で炊くが、大鍋に入った料理は、代表の永田さん宅で調理して持ち込まれる。「お皿や炊飯器・温め用のカセットコンロまで毎回運ぶことがちょっと大変で…。倉庫も無いのでわが家は荷物で占領されてます」と笑う。この日のメニューは中華丼・唐揚げ・切り干し大根のハムきゅうりサラダ・アサリのお味噌汁・果物。この唐揚げは近所の商店街の唐揚げ屋さんが毎回寄付してくれているのだそう。アサリなど前日にパルコープから届けた食材も有効に使われていた。
子どもたちは準備ができるまで外で身体を動かしたり、部屋でお絵かきをしたり。ここでは大学生が走り回ったり大活躍。小さい赤ちゃんはスタッフにかわるがわる抱っこされていた。
準備が整うと、バイキング形式で給食のように並んで食事を受け取っていく。子どもどうしでワイワイ食べるのは楽しそうだ。付き添いの親御さんやおばあちゃんもいて、スタッフも入れて約60人でのにぎやかな夕食になった。
“地域の実家 ”を目指して
代表の永田さんにお話をうかがいました。「子どもを取り巻く環境のことは、子どもが産まれてから意識するようになり、西成区の今池こどもの家※1と児童養護施設でボランティアをしていました。子ども食堂のことは、ある日“CPAO”※2の徳丸さんの講演を聞く中で知り、自分にもできるんじゃないかと思い、2016年6月に、私の夫とママ友でこの食堂を立ち上げました。今は運営スタッフ10名に加え、大学生から幅広い年代の登録ボランティアさんで活動しています。なぜ土曜日の夜なのかと言うと、自分が平日は仕事をしているから。子ども(乳幼児~高校生)を無料にしているのにはこだわりがあります。自分自身、子どもの頃はお小遣いがとっても貴重でした。有料にすると、親御さんにお小遣いをもらわないといけないので、子どもに気兼ねなく来てもらえるように無料にしているんです。
地域の子どもを自宅に招くような気持ちで、地域のなかですべての子どもたちが、生き生きと、人生を楽しみながら育つために、『あのね…』と何でも話せるような“居場所(地域の実家)”を目指して活動を続けています。また昨年からは、常連となった子どもたちに声をかけて始まった『あのねくらぶ』というのもあり、こちらは登録制で、一緒に食事をするだけでなく、遠足など野外活動もしたりして、子どもたち一人ひとりのニーズに沿った活動を、子どもたちと一緒に展開しています。
※1…大阪市が行っているあいりん児童健全育成事業で、子どもたちの健全な遊び場・生活の場として活動している。
※2…「子どもの育ちをサポート」できる社会を目指し、活動を展開しているNPO法人。「まずは、ごはん!」をモットーに、「ごはんの会」など食べることを中心に、親子の居場所づくりコミュニティづくりに取り組む。
専門機関との連携も見据えてできることを
子ども食堂の他にも、自ら民生委員になり、生後3ヶ月のお子さんがいるご家庭に訪問して身近な相談相手として子育てを応援する「ウエルカムベビー」の取り組みも行っています。実際に訪問した際には、LINEをその場で交換したりして、役所がなかなかつながりにくいお母さんともつながることができたというケースもあります。民生委員という肩書は、訪問時に怪しまれずに済みますし、学校との情報共有や区役所・社協との連携もしやすいですね。
思うことは、専門機関との連携。「発見し、つなぐ」だけでは解決されないこともあります。『地域』の私たちは、親戚のように、ときに助け合いながら、ともに暮らすこと、“終わりのない関係性”が大事だと思っています。あるお母さんに『あのねは、子どもの母親の母親』と言われたことがあり、嬉しかったですね。
子どもたちに必要なものは、「日常」の安心と将来への希望です。みんなそれぞれ個性があって、スタッフも個性的。悩んでいる子がいたら「色んな子がいていいんだよ。そのままでいいんだよ」と伝えたいです。
生活保護の切り下げや、税と社会保障の問題点など、社会のゆがみが子どもたちの苦境と繋がっているように思います。私たちは、目の前の親子に肩の荷を少し分けてもらいながら、社会への意思表示をする必要があると感じています。