掲載日:2013年05月07日
明治時代から作り続けられてきた"三年子(さんねんご)花らっきょう"は、福井県三里浜(さんりはま)で育った人なら知らない人はいない特産物です。
三里浜特産農協では近頃「らっきょう部会」が元気です。今回登場のらっきょう部会のメンバーは、企業や農協などでサラリーマンとして勤め上げ、定年退職した団塊世代の皆さん。だんだんと農家の高齢化で生産量が減ってきたことを残念に感じて「"三年子花らっきょう"をみんなで作ろう」と呼びかけあって集まりました。実は幼なじみなんだそうです。
息ぴったりに草引きをする皆さん。
らっきょうは除草剤が使えないため、雑草引きは全て手作業です。
「わたしらの小さい頃は家の手伝いといえば、らっきょう畑で苗植えやら雑草引き。収穫の仕事もきつかったなあ」と。これから先も作り続けるために、苗植えと収穫のための機械をオリジナルで作り導入。生産者が高齢になってきても作り続けていける仕組みを作りながら、作り手がいなくなった畑を借り受けて生産量を増やします。
「繊維がきゅっと詰まった三年子花らっきょうは、ゴリゴリではなくシャキシャキの歯ごたえ。大阪の皆さんもぜひ、ご家庭で漬けてみて味わってみてください。このらっきょうが一番おいしいと思うので」と、部会長の村上さんは言います。
通常のらっきょう(1年掘り)は、夏に植付けられ秋に紫の花を付け、春先に分球して6月頃に収穫します。三年子花らっきょう(3年掘り)は、さらにもう1年土の中で過ごし花を付け、2回目の春にさらに分球*して6月頃収穫される独特の栽培法です。このあしかけ3年越しのらっきょうは、他の地方にはなく、「三年子花らっきょう」と呼ばれ、繊維が細かく巻きがしっかりしたシャキシャキと歯切れの良いらっきょうになります。
*分球:ひとつの種球から1年で6~7個に増えることを言います。三年子になるまで数回の分球を経て、一株で約50個になります。
右の三年子は分球が進み小ぶりになりますが、巻きの枚数は同じなので、
厚みがうすく繊維が詰まり、シャキシャキです。
らっきょうには水溶性の食物繊維(フルクタン)が多く含まれています。ごぼうの約3倍の含有量です。フルクタンは腸内細菌の成育促進や血中コレステロールを低下させる働きがあると言われています。
また、らっきょうの"におい"の成分は玉ねぎやニラにも含まれている「硫化アリル」です。ビタミンB1の吸収を高めたり、保温作用があり、冷えに効果的だと言われています。
またらっきょうは酢漬けにすることでお酢の効能もプラスされ消化促進や疲労回復にも良いとされます。