掲載日:2011年02月14日
商品にならない大根が残されている畑
去年の夏から秋、気象の異常さや農産物の品不足による価格高騰を、大阪にいても感じました。
農産物を作っている産地の畑では、まともに天候の影響を受け、労力をかけても例年のように育たなかったり、病害虫が発生したりしました。
そんな中、緑肥(りょくひ)を鋤(す)きこんで健康な土作りを重視したり、より少ない農薬使用を守りながら「何とか生協組合員さんに野菜や果物を届けたい」とご苦労されています。
今回は特に被害の大きかった関東地域のお話を千葉県・多古町(たこまち)旬の味産直センターでうかがいました。
去年は人参の発芽が遅かったね。
人参は、水がかからないと発芽しないんだ。7月末から8月半ばまでに種まきするんだけど、ずっと雨が降らなくて...。
なんせ、地下足袋(じかたび)履いてても畑に居(お)れないくらい地面が焼けて熱い猛暑だった。
時間と労力に限界があるから、水を運んでかけてやっと本葉が出た人参と、1メートルくらいに育った里芋の木と、どっちに水をかけてやるかで悩んでつらかったね。
うちでは人参しか助けられなかった。
キャベツやブロッコリーも植えた翌日には強い日差しで乾燥して枯れてしまう、いったん植えた苗が枯れるなんて経験がなかったことだから、今お届けできているのは、何とか生き延びてきた野菜と思って食べて欲しい。
ブロッコリーの畑で。菅沢さん
さつま芋を作って37年になるけれど、こんな年は初めてだなぁ。
あまりにも高温で日照りが続いて葉っぱが枯れそうになった。
遅い時期に植えたものが、夏の干ばつと秋の豪雨で、細くて色が薄かったり、いつもは4~5本の芋が付くところ1本しか付いてなかったり。
天候は毎年違ってるし、野菜は工業製品ではないから毎年1年生のつもりで一生懸命作ってる。
大きくても小さくても丸くても長くても、みな味は同じだから、おいしく食べて欲しいね。
来年用の苗を育てています。佐藤さん
8月に猛暑が続いて、3キロメートル離れた川にタンクを積んだ2トン車で1日10往復水汲みに行った。
1日以上かけてこの10アール(つるみ店の面積くらい)の畑に2万リットル撒(ま)いたけど、乾いた土には1センチくらいしか滲(し)みなかった。
9月になったら今度は豪雨がきて地面が雨で叩かれて、湿って固い土になってしまい、大根が下に伸びて太っていかない。平らな畑は、水浸しになってしまうし...。
例年は4000本くらい大根が採れる畑だけど、2000本しかとれんやろうね。
今年は、お金かかるけど井戸を掘ることを考えてる。なんとかハートマーク栽培で育てたいから、早めで少ない農薬散布にして残留しないように工夫しながら、病気に強くおいしくなる工夫をしているんだ。
「この畑ではいつもの半分しか大根がとれんやろうね」
伊藤正徳さん(左)と息子さんの慎二さん(写真は今年1月11日)
伊藤さんの奥さんの、たかさん
生産者の方と交流して、たいへんだけれど努力や工夫を精一杯重ね、安心安全な野菜を届けていただいていることに感謝し、多くの組合員に広げていかなくてはと思いました。
寝屋川西香里地域活動委員長 木川 千恵子さん
去年は、各産地の皆さんが本当に苦労して農産物を出荷してくださいました。
産地は高く売れることを期待してはいません。
組合員さんが生産者の事を思い出していただき、スーパーで安売りしている時でも生協で安定して利用いただくことが、産地を支えることにつながります。
商品部 金津正明