掲載日:2026年1月26日

上枝さん、木本さん
※場所・開催日・参加費は掲載日時点の情報です。変わっている場合がありますので、ご利用の際は予め主催や開催場所までご確認ください。
パルコープエリアにある「こども食堂」を訪問し、活動の様子や運営されている方の思いなどをご紹介します。
今回は、阿倍野区にある「まなっぷ食堂」さんです。
伺ったのは12月、ご飯を食べるだけではない様々なプログラム(講座)の内、「かきかた教室(書道)」と「こども料理教室(辻調×まなっぷ)」の日に参加。週替わりで書道・絵画・クッキングなど様々な習い事を体験できる機会を作っている。
現在の開催場所の地域コミュニティスペースは、キッチンや作業環境も整っていて使いやすそう。15時半頃からこどもたちが集まってきて宿題などの自由時間、16時半から1時間は体験、その後みんなで夕食の流れだ。その他、フードパントリーも行うなど地域の家庭を支えている。
代表の木本さん、スタッフの上枝さんにお話を伺いました。「『まなっぷ』を始めた最初のきっかけは、2008年に下のこどもが生まれたこと。上の子の時には色々わからずに子育てをしていて、区役所で集まった仲間や幼稚園や小学校のつながりでママ友になった人たちと『習い事どうする、お金かかるよね』とか『こどもが風邪でもキャンセルできないからお金払って結局休んじゃった』とかそんな話をしていました。そういう上の子の時代があって、下の子が生まれたらまた同じ繰り返しが始まる。それがもったいないなって思ったのがきっかけです。親はみんな『こどもに何かをさせたい、経験させたいけど習い事はお金がかかる』と。どうにかできないかと思って2009年に親子が集う『まなまなくらぶ』を始めました。最初はサークル的に集まって、でもちょっと物足りなく感じて講師を入れようということになり、みんなでワイワイしている中に知能教育の先生に入ってもらいました。終わってからみんなでよくランチに行っていたんですがこどもがいると予約するのも結構大変。そこで、今の『まなっぷ』の原型にもなるんですが自宅を開放してお昼ご飯を作り、リビングでは講師の先生と親子が一緒に過ごしながら何かいろんな学びをしている、という形になりました。

その中で、お母さんたちが集まるといろんな悩みと愚痴が出るけど解決策はひとつも出てこない。喋ることもそれは大事なんですがこれに答えを出してくれる人が欲しいなと思いました。知能教育の先生は子育ての先生でもあるので、愚痴とかいろんな子育ての悩みにその先生から答えをもらうことをその時間内に含めていました。いろんなアドバイスをくれる時間だったのでお母さんたちも成長しました。
そこからこどもたちが成長し、わが子が幼稚園に上がったので幼稚園クラスを作って、小学校に上がったら小学校クラスを作りました。人が増えてきて、お金の管理や保険にも入らないといけないなど課題が出てきたので2016年にNPОという形に変えて『yucoco(ゆここ)※』を設立。そこから2年後にこども食堂をスタートしました。
スタートする前に、他のこども食堂さんに見学・体験で勉強させてもらいました。体験する中でわかったのは、多くはご飯を食べることが目的であとはみんな好きなように遊びなさいという雰囲気のところが多いことです。でも私はやっぱりどうしても学びを入れたかった。子どもたちのごはんの食べ方や箸の持ち方、膝を立てて食べるとか、ちょっと気になるところも伝えたいし、季節感も感じられるとかいうのも含めたものを自分でやりたいと思って、最初は『すきっぷ』という名前で、1年後に今の放課後キッズクラブ『まなっぷ』というこの形になりました。ここに至るまでにも、参加費の問題や資金集めなどいろいろ考えながら始めたのが2019年頃です。
2020年にコロナ禍になり3カ月間お休みしたんですが、やっぱり保護者から『続けてほしい』という声が多くあり、お弁当配布にするなど工夫しながら休まず続けていました。そんな活動をしていた中で辻調理師専門学校さんともご縁があり、今の形ができてきたんです。活動を支えてくれる人や団体の存在を知り、助成金に挑戦したことが、私にとってその後の大きな転機となりました。
私は、こどもに自分の『好き』を見つけて欲しいと思っています。自分の好きがわかることで、それを強みにして生きていってほしい。見つける機会になるように学習支援や体験活動を盛り込むようにしています。
あと大事だと思っているのが、お母さんにとって、おうちにこどもが帰ってきたら“あとはお風呂に入って寝るだけ”っていうのにしたかったんです。本当はお母さんも一緒にご飯食べる時間をいずれは作りたいんですけど、『宿題させるのがすごい大変』って皆さん言うので、この時間に宿題を終えている事はいいかなと思っています。
近くの高校の家庭科の先生が『家庭科部の生徒たちに地域との触れ合いをさせたい』というので、こども食堂を探しておられて、いろいろコラボしていました。来てくれた何人かの生徒さんは、『大学受験でもここでの経験を生かして推薦をとることができた』と言っていました。そういうお付き合いの中でその先生が、辻調理師専門学校(辻調)さんと繋げてくれたんです。
辻調さんでボランティアの授業があり、ちょうどタイミング良く紹介いただいた感じです。
まず4月に私が辻調の学生に企画の説明をすることから始まって、学生からメニューのプレゼンをしてもらい、実際に作って試食・打合せを重ねて本番を迎えます。1学期は学校の設備をフルに使って、2学期は同じメニューを『まなっぷ』に来てもらってやるので、調理器具もコンロも制限がある中での調理。それが学生さんにも学びになるんです。『まなっぷ』のこどもたちにとっては辻調の学生とのふれあいも貴重な体験で、双方に良い機会になっていると思っています。

大阪市のホームページにあった『子ども食堂向け助成金一覧』を見ていて、そこにパルコープさんの名前が載っていたのを見つけました。もともと個人宅配をずっと利用していましたし、支援を受けているこども食堂やフードバンクの様子、どんなサポートがあるのかも見て、連絡しました。
以前は私たちからフードバンクに『取りに行かせてください』とお願いし、決まった回数で引き取りに行く形が中心でしたが、最近は活動を知ってくださる人が増えたことで、向こうから声をかけてくいただくことが増えました。パルコープさんからも、いろんなものをいただいてるのはすごく満足していて、しかも取りに行かなくても届けていただけるっていうのはとても助かっているし、積極的に連絡をくださるのでそこもすごくありがたいです。
以前、参加費を1人300円でやっていた時期があったんですが、その時はあまり人が来なかったんです。この地域は『貧困』という言葉に抵抗がある人も多く『うちはそんなに困ってないから行かなくていい』って思われがちでした。それが1000円にしたら、『これなら参加しやすい』という声が増えて、今はこの金額でやっています。5、6年前はまだ『子ども食堂=本当に食べるのに困っている人が行くところ』っていうイメージが強くて、フードパントリーでも受け取らない方もいらっしゃいました。
でも、いろんな団体さんと話すと皆さんおっしゃるのは、『困ってないわけじゃない』ということです。『困っているけど、ご飯が食べられないわけではない』っていう、このギリギリの中間層がすごく多くて、ここが一番辛いんですよね。行政の支援も届きにくく、生活のランクを落としたりして我慢している。私たちのような活動をしている団体としては、ここに一番支援の手を差し伸べたいけれど線引きが難しいのが現状です。何を『貧困』と捉えるかというのは難しい問題です。お金がゼロじゃないし、明日食べるものがないわけじゃない。それでも、私が強く感じるのは、『心の貧困』がすごく増えていることです。塾の前に一人でご飯を食べたり、家族とは別々に過ごす『孤食』の問題。こういう心の寂しさや満たされなさを抱えているこどもたちがたくさんいます。かまってほしくてずっとくっついてくる子とか、何でも大人に解決してもらおうとする子、指示待ちで動けない子とか。これはお金があるなしの『貧しさ』とは違うけれど、心の貧困は確実にあるので、私たちは『子どもの居場所』として活動しています。
こうした活動を5人のスタッフで行なっています。子どもを預けてくれていたお母さんや、幼稚園・学校の同級生のママたちが中心。食事作りにはシニアボランティアさんも手伝いに来てくれています。やってきて分かったのは『1人では続けられない』ということ。前にぐっと引っ張ってくれる人もいれば、背中を押してくれる人、時々後ろからひっぱってくれる人も必要で、そのバランスが絶妙でみんなで力を出し合っているから続けられている、という実感があります。
シニアボランティアさんが手伝いに来てくれるようになって、それが防犯にも繋がっていることにも気づきました。大人がこどもたちの顔を覚えるし、こどもたちもお年寄りに声をかけるようになり、災害があった時も『あそこのおばあちゃん大丈夫かな?』ってこどもから声が出たりする。血縁関係がなくてもそういう繋がりが生まれると、防犯にも災害対策にも繋がるんだなって思いました。

今は主にこの場所を拠点にしていますが、以前はいくつも活動場所がありました。今はここがメインになってるので、遠いところに住んでいる子どもたちが参加しづらいのが悩みです。もっといろんな場所に拠点をつくりたいし、もうちょっと広いところで、たくさんの人に来てもらえるようになれば、お母さんたちも一緒にご飯が食べられる時間とかスペースも確保できるし。これから回数も増やしていきたいので、スタッフ・ボランティアさんも増えてほしいと思います。ぜひご連絡ください」。
※:「yucoco(ゆここ)」は“Youの居場所はここよ”誰でもみんなおいで、という意味があります。