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2024/05/01

ママに贈る魔法のメッセージ

玄関をきれいに保つ親の役割・子どもの役割

日本の古き良き躾(しつけ)、昔から伝わる智恵を伝承している、やまとしぐさ伝承学師範の辻中公(つじなか くみ)です。

日本では、食事などの所作法の型(かた)、季節の祭事の型を通して、生き方や心の育み方を伝え残してきました。
そんな暮らしの中で古くから伝え残されていきた「型」を、「やまとしぐさ」と命名し、その型の意味を皆様にお伝えしています。

やまとしぐさは、「一心五心」という心を磨いていくためのお稽古をお伝えしています。
「一心五心」とは、お陰様の心、感謝、思いやり、尊敬、責任、信頼の心のことで、日本人の精神性を高めてきた大事な生き方の指針。

さて、今回ぜひ知っていただきたい「やまとしぐさ」は、「玄関をきれいに保つ親の役割・子どもの役割」について。

かつての日本のとある小さな町にて、石畳が静かに並ぶ道を歩けば、ひっそりと佇む家々がひときわ目を引きます。それぞれの家の前には、丁寧に扱われた玄関があり、その門構えからは家族の歴史が語りかけてくるようです。

ある日、町に新しく越してきた一家が、古びてはいるけれど美しい木造の家に住み始めました。家の主がこの家を選んだのは、玄関から感じる「迎える心」に惹かれたからです。玄関先には、小さな庭が手入れされ、四季折々の花が咲き誇り、訪れる人々を静かに迎え入れます。

そのご家庭では玄関において特別な習慣がありました。家族は毎朝、玄関を掃き清め、小石を並べ直し、門松や季節の飾りを手入れしました。これはただの日常の作業ではなく、祖先から受け継がれた「玄関こそが家の魂である」という教えに基づいてのことでした。

家主が子どもたちに伝えたのは、「玄関はただの入り口ではなく、家族の幸福と健康を守るための神聖な場所。外の世界との境界であり、家の中に入るすべてのものから悪い気を清める役割があるとされている。玄関で靴を脱ぎ、一礼をすることで、外の喧噪を振り払い、家の中には穏やかで清らかな空気だけが満ちるように心がけること」ということでした。

春には桜の枝を、夏には青葉を、秋には紅葉を、そして冬には松の枝を玄関に飾ります。これらはすべて、自然の力を家の中に招き入れ、家族にとって良い年であるよう祈りを込めて選ばれたものです。玄関を通じて家族は季節の変わり目を感じ取り、自然との深い結びつきを大切にしていました。

この家の玄関からは、訪れるすべての人に対しても「おもてなしの心」が表れていました。玄関先で靴を脱ぐその瞬間から、訪れる人々はこの家族の温もりを感じ取り、心が和むのです。玄関が教えてくれるのは、美しさだけではなく、人と人とのつながり、そして時を超えた敬意と愛情の大切さです。

こうして、日本の玄関はただの通過点ではなく、家の魂を守り、文化と伝統を育む場所として、静かにその役割を果たし続けています。

日本の家では、玄関が家の「顔」とされており、その美しさと整理整頓が家族の運気を直接的に左右する、と広く信じられています。玄関が美しく保たれていることは、良い気を家に招き入れ、家族全員に安定と幸運をもたらすとされます。そのため、玄関の管理は非常に重要であり、特に靴の整理と子どもの遊具の片付けには注意が必要です。

・靴の整理の重要性
靴は、家の中への「最初の一歩」を象徴し、整然と並べられていないと、家全体のエネルギーフローに乱れが生じます。この乱れは家族の気分を不安定にさせ、日常生活にストレスやイライラとして影響を及ぼすことがあります。例えば、散らかった靴が原因で玄関がごちゃごちゃしていると、家族が家に帰るたびに心理的な重荷を感じることがあります。そのため、靴はきちんと揃えて靴箱に収納するなど、常に整理整頓を心がけることが重要です。

・子どもの遊具と玄関の清潔
子どものおもちゃは、遊び心を刺激する一方で、玄関を乱雑に見せる原因にもなります。子どもが自分のおもちゃを適切な場所に片付ける習慣を身につけることで、玄関が常に清潔に保たれ、良い気が流れるようになります。親はおもちゃ用の収納ボックスを用意することで、子どもが自分のものを管理しやすくすることができます。

・親と子の役割
親の役割は、玄関の整理整頓の重要性を子どもに理解させることです。また、玄関を美しく保つために、適切に装飾することも親の責任です。季節に応じた花や装飾品を飾ることで、玄関を魅力的で歓迎の気持ちが伝わる空間に変えることができます。

子どもには、具体的な役割を一つ与え、それを継続的に達成できた場合には大いに褒め称えます。たとえば、「毎日帰宅後は靴を揃えて靴箱にきちんと収める」というシンプルながらも日常的な行動を習慣にすることから始めます。ほかには、玄関に入る前にマットで靴底の泥を10数えて取り除くなど、ひとつの習慣が身につくまで、親は新たな課題を加えずに、子どもが行動に集中できるように支援します。達成感を感じさせることが、自信を育て、より積極的に家事に参加する動機付けとなります。

このようなアプローチにより、玄関を通じて家族全員が協力し合い、それぞれが責任を持つことで、家の運気を高め、調和の取れた家庭環境を作り出すことができます。玄関を美しく保つことは、その家族の心の健康にも直接影響し、家族全体の気分を向上させることができます。美しい玄関は、訪れる人々にも家族が誇りを持っていることを伝え、ポジティブなエネルギーを発散させます。

親が子どもに清潔で整頓された空間の価値を教え、その重要性を共有することで、子どもたちは責任感を持って行動するようになります。この教育プロセスは子どもたちの自立心を養い、他の生活領域においても秩序を重んじる態度を育てることに繋がります。親として子どもにひとつのタスクを持続的に遂行させることは、小さな成功を積み重ねさせることにもつながり、自信を持って新しい課題に挑戦する勇気を与えます。

玄関を通じて教えられるのは、ただ片付ける技術だけではありません。それはまた、尊敬、誇り、家族への愛情を表現する方法でもあります。毎日のように繰り返される玄関の掃除や整頓は、家族の絆を強化し、共有の価値観を育む重要な瞬間です。

最終的に、玄関を清潔に保つことは、家の中で育まれる文化の一部です。これによって家族は、外の世界に向けてどのような印象を持たれたいか、また家の内部でどのような生活を送りたいかを意識的に選択します。玄関がきれいで整頓されている家は、平和と調和のある生活の象徴となり、訪れるすべての人々に好ましい影響を与えます。

このようにして、玄関の管理は単なる家事ではなく、家族のアイデンティティを形成し、次世代に価値ある教訓を伝える文化的行為となるのです。

やまとしぐさ伝承学師範
辻中公

辻中つじなかくみやまとしぐさ伝承師範

辻中 公

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