農薬の考え方

『農産物の品質基準と表示の基準』の見直しについて

はじめに
ここ数年間の消費者運動の高まりで、食品関連法規が改正されました。農薬をめぐる法規も一連の改正のなかで、消費者や生産者にとって安全性の確保など、大きく前進する内容となりました。
現行のハートマーク基準は使用制限農薬を具体的に指定したことで、日常的に農薬問題を協議する具体的な材料となり、使用農薬の総量削減に貢献しました。
産地見学や交流とあいまって『ハートマーク』に対しての組合員の信頼は高まり、「ハートマーク農産品」の認知度や利用結集が年々すすんできました。
果たしてきた役割に確信をもちつつ、より科学的に基準の見直しをすすめます。



1.見直しする理由

農薬や農産物をめぐる法規などが改定され、現行基準の見直しが必要です。

1.「無農薬」「減農薬」等の個々の表示から、一括りでの表示(「特別栽培農産物」)になり、ハートマーク表示も見直しが必要です。
⇒特別栽培農産物表示ガイドライン改正(03年5月改正)
2.使用基準が厳しく改定され、作物ごとに使用できる農薬や使い方が限定されました。
「使用制限農薬」の代替えする農薬がない農産物(品目)もでてきました。
⇒農薬取締法改正(02年度12月改正)
3.残留農薬基準が ※『ポジティブリスト制』に転換され、約500農薬に残留農薬基準が設定されることになりました。(現在229農薬)
⇒食品衛生法改正(03年度5月改正)
 「使用農薬の総量削減」を更に進めるため
4.「使用制限農薬52」を見直し、使用される全ての農薬を総合的に管理し「使用農薬の総量削減」をすすめます。

※「使用制限農薬」以外の農薬に代替することで農薬の散布回数が増える場合もありました。



2.見直しにあたって大切にすること

「使用農薬の総量削減」を引き続き進め、「化学肥料」削減にも取り組みます。
・科学的な視点を重視します。
・組合員・生産者とのコンセンサス(合意形成)を大切に進めます。
・生協の社会的役割を重視し、法基準を準拠した上で「より安全」をめざします。



3.具体的な進め方

農薬や農産物をめぐる法規などが改定され、現行基準の見直しが必要です。

・農薬と化学肥料を30%以上削減した農産物に独自マーク表示を行います。
⇒「ハートマーク」を見直し、「ハート栽培」表示をします。
・残留農薬の検査を強化するため、検査機器と体制を補強し自前で検査を行います。
⇒1農産物当たり約200種類の農薬検査を行い、年間で600品目を実施します。

実施時期
商品案内への掲載は04年4月1回から実施しています。新マークおよび呼称については《商品企画小委員会》で検討し、アンケートなどを実施の上、11月決定しました。
自前の残留農薬検査は、03年12月よりテスト稼動し、04年1月より開始します。本格稼動については、04年度3月末より実施します。


※ポジティブリスト:使用できる農薬の一覧表で、指定された農薬以外は使用できない。これまではネガティブリストで使用禁止農薬を設定し、それ以外の農薬については自由使用でした。